[隠れた余剰次元とブレーン宇宙モデルの謎を解く]『ワープする宇宙』( リサ・ランドール )

リサ・ランドールの『ワープする宇宙 5次元時空の謎を解く』(2007年)をようやく読破しました。


以下に所感をまとめました。

0. 『ワープする宇宙』

『ワープする宇宙』の著者リサ・ランドールは1965年6月18日生まれのハーバード大学の理論物理学者です。
プリンストン大学物理学部で終身在職兼をもつ最初の女性教授となりました。MITおよびハーバード大学においても理論物理学者として終身在職権をもつ初の女性教授として迎え入れられています。

リサ・ランドール(出典:美しすぎる女性物理学者

(以下はAmazonの商品の説明より引用)

宇宙は、私たちが実感できる3次元+時間という構成ではないらしい。そこには、もうひとつの見えない次元があるというのだ。
もし、もうひとつの次元が存在するのなら、なぜ私たちには見えないのか?そ
れは、私たちの世界にどう影響しているのか?
どうしたらその存在を証明できるのか?現代物理学の歩みから最新理論まで、数式を一切使わずわかりやすく解説しながら、見えない5番めの次元の驚異的な世界に私たちを導いていく。英米の大学でテキストとして使われている話題の著書Warped Passagesの邦訳。

(引用おわり)


Amazonのカスタマーレビューでは、4.2/5.0と高い評価を得ています。


著者リサ・ランドールは、美しすぎる女性物理学者としても有名です。

(本著の背表紙より)

が、本著は一般向け科学書とはいえ、その内容はまさにガチの物理学。ゲージボソン、ヒッグス機構、大統一理論、自発的対称性の破れ、などなど。。。

正直、あまりに難しい本だったので、ほとんど何も理解できておりません 笑

本書の前半部分は相対性理論と量子力学など現代物理学の基礎編として構成されており、ここを頑張って読破するだけでも現代物理学の概要を知ることができます。

そして、後半では超ひも理論、ブレーン宇宙モデルなど、発刊当時(2007年)の最先端トピックがわかりやすく解説されています(といっても私のような凡人には超難解)。

2007年は、高エネルギーの大型ハドロン加速器(HLC)が完成した年でもあります(実際の稼働開始は2008年9月10日)。

LHCは、物質に質量を与えた起源とされるヒッグス粒子の発見(2012年7月4日)で一躍有名になりましたが、過去には、極小ブラックホールを生成することから地球が呑み込まれて消滅する極めて危険な実験という噂が広がり、世界各地で反対運動も起きました(実際にはホーキング輻射で瞬時に蒸発してしまう)。

並行して超大作の『暴力の人類史』上下巻(合計1300ページ)を読んでいたこともあり、読破まで半年以上を要してしまった 笑

以下に内容を簡単に紹介します(以下太字は本文より引用)。

1. 空間の次元と思考の広がり

一般相対性理論から派生する「歪曲した幾何」

重力がほかの既知の力に比べてなぜこんなにも弱いのか。。。余剰次元は、これに解答を与えてくれるかもしれない

ある配置の時空構造では時空の歪曲がひどく大きいために、空間のある領域では重力は強くとも、ほかのところでは一様に弱くなってしまうことを発見した

大型ハドロン加速器(LHC)による実験で、カルツァ - クライン・モード粒子の痕跡が発見されるかもしれない

余剰次元が見つかれば、重力を含めた大統一理論が完成するようです。

本著の刊行は2007年ですが、2023年現在、LHC実験でカルツァ - クライン・モード粒子の痕跡が見つかったという報告はありません。

ブレーン宇宙モデルは間違っていたのでしょうか。。。?

「万物の理論の失敗」というサイトのように、D-ブレーンと重力波は本当なのか?と疑問視する投稿もあります。このサイトの場合は最終更新が2013年なので、重力波が実際に検出された(2015年)前の議論なのですが。

第1章 入り口のパッセージ - 次元の神秘的なベールをはぐ

きみは自分の道を進めばいい
自分の道を進めばいい
- フリートウッド・マック

本著の各章には、冒頭に必ずポップミュージック歌詞から引用が入っているのですが、これが70/80年代洋楽時代のものが多く、上の歌詞もフリートウッド・マックのアルバム『噂』に収録されている "Go your own way" でした。

高次元を低次元に置き換える方法はある、射影もその一つだ。しかし、射影されている対象物に存在する3番目の空間次元が、射影では失われてしまう


絵を描くとき、画家はつねに自分の見たものを射影画像に還元しなくてはならない

中世以降の画家は、絵に表現される情報の喪失を部分的に補正する射影方法を発達させてきた。そのひとつが、20世紀のキュービズム(立体派)という手法だ

第2章 秘密のパッセージ - 巻き上げられた余剰次元

巻き上げられた極小の次元が存在しているとしても、これを検出するのは至難の技だろう

アインシュタインの一般相対性理論における余剰次元

カルツァ - クライン宇宙の巻き上げられた次元の長さは非常に短く、プランク長さ、つまり10の-33乗センチメートル程度とされる

第3章 閉鎖的なパッセージ - ブレーン、ブレーンワールド、バルク

ブレーン、膜、スライス。。。なんだか言葉の定義があいまいですが、とにかく、空間の特殊な領域で、そこにある次元内ですべての粒子が閉じ込められている場所がブレーン=膜という認識でだいたい合っているような気がします。

バルク:ブレーンを含む全体の空間、ブレーンと違って全方向に伸びている

多次元宇宙では。。。ブレーンが境界となっており。。。そのブレーンは全体の空間より次元の数が少ない

ブレーンに閉じ込められた粒子は、物理法則によって完全にそのブレーンにとらわれている。ブレーンに拘束された物体は、そのブレーンの外に伸びる余剰次元には絶対に飛び出していかない。

つまり。。。我々人類は、ある限定された3次元空間のブレーンに拘束されており、外のブレーンには移動することは決してできないが、重力はブレーンに拘束されずに外のブレーンから我々人類が棲んでいる3次元空間のブレーンに影響を及ぼしており、それがダークマターやダークエネルギーの正体である。。。ということでしょうか??

重力は決してブレーンに閉じ込められない

一般相対性理論によれば、重力は時空構造に織り込まれている。したがって重力は空間のいたるところで、どの方向にでも働くはずだ

マルチバース(多重宇宙)、あるいはパラレルワールド


もし別のブレーンに生命体がいたとしても、その生き物はまったく別の環境に閉じ込められているわけだから、まったく違った力をまったく違った感覚で感知しているに違いない

私たちの感覚は、私たちを取り巻く化学反応と、光と、音を拾うように調整されている

別のブレーンでは基本的な力と粒子が違うはずだから、そこに生き物がいたとしても、私たちのブレーンの生き物とはほとんど共通点がないだろう

このSFのような想像力を掻き立てられるマルチバースという説は、以前読んだ宇宙本にもたびたび登場しました。


第4章 理論物理学へのアプローチ

ひも理論=トップダウン方式(プラトン):まず自分が正しいと信じる理論を出発点として、そこから実際に観測される乱雑な世界に見合うような帰結を演繹しようとする

モデル構築=ボトムアップ方式(アリストテレス):観測された素粒子とその相互作用のあいだの関連性を見つけることによって、その根本にある理論を導き出そうとする

アインシュタインは若いときはトップダウン方式で、晩年(一般相対性理論)のときはボトムアップ方式だったということですが、この2つの異なるアプローチは、(どちらも一長一短ですが)、理論物理学の世界だけでなく、俗世間にも汎用的に当てはまるものだと思います。

ビジネスでの仮説検証と市場調査、ひいては人の生き方そのものにまで。。。

ひも理論は、現在の装置を使って実験的に調べられるエネルギースケールの1兆倍の1万倍(1京倍)ものスケールで定義される理論なのである

著者のアプローチはモデル構築(=標準モデル)です。

本書で述べる余剰次元理論の美点のひとつは、両陣営の考えが合わさって、これらの理論を生んだところだ。

ここから素粒子物理学の基本についてが長いページに渡って始まります。。。

陽子:2つのアップクオークと1つのダウンクオーク
中性子:2つのアップクオークと1つのダウンクオーク


たとえば電子の質量は陽子の約2000分の1だが、電子とまったく同じ電荷を帯びたミューオンという素粒子は、質量が電子の200倍ある

偶然にも、電子の質量に関しては、先日中学生の娘の化学の勉強に付き合っていたときに、教科書に「電子の質量は陽子の1840分の1」と明記してあるのを見つけて驚きました。


素粒子物理学が進むと、将来の子どもたちの教科書には、クオークやミューオンといった記述や計算問題なんかが普通に入ってくるのかもしれませんね。

ゲージボソン:力を伝える


もはや、粒子加速器による実験で標準モデルの素粒子が探されることはない。それはもうすべて見つかった

既知の粒子の質量と重力の弱さを証明しようとすれば、標準モデルよりもさらに深い物理理論がどうしても必要になる

2. 20世紀初頭の進展

第5章 相対性理論 - アインシュタインが発展させた重力理論

ミューオンという素粒子は、電子と同じ電荷を帯びているが、電子よりも重い。ミューオンの寿命(崩壊時間)はたった100万分の2秒。=600mしか移動できないはず。

にも関わらず、6000m移動できるのは、光速に近い速度で動いているため、時間の遅れのため。

一般相対性理論

1.等価原理:加速による効果(慣性質量)と重力による効果(重力質量)は区別がつかない

F=ma

自由落下している観測者と、慣性系にいる観測者の運動の法則は等しい

2.光の重力赤方偏移
3.光の曲がり

時空構造(空間の三次元+時間の一次元)

宇宙にどれだけの物質とエネルギーが含まれているかがわかれば、宇宙の進化を計算できる

重力は光速で進む:重力が作用するには、瞬時には起こらず、そのまえに時空が変形しなければならないとわかった

第6章 量子力学 - 不確かさの問題

二重スリット実験

ハイゼルベルグの不確定性原理:「ある特定の二つの量(位置、運動量)を一度に正確に測定することはできない」

位置の不確かさと運動量の不確かさの積は、必ずプランク定数より大きくなる

電子ボルト 1eV イーヴィ

ウィークスケールエネルギー 250GeV

プランクスケールエネルギー  10¹⁹GeV

ボソン スピン1,2,3...(光子)
フェルミオン スピン 1/2, 3/2...1 (陽子、中性子、電子)

ボソンは同じ場所にいることができる

同じタイプ(スピン)のフェルミオンが二つ同じ場所にいることはありえない(パウリの排他原理)

なので物質は崩壊できない

(以降も年末にかけて順次書き足していきます)

(2024年5月23日 追記)

ハイゼンベルクの不確定性原理

ある特定の二つの量を一度に正確に測定することは不可能

あまりにも有名な定理ですが、私は小学生時代、この定理を知らなかったので、自然界の物理法則がすべて解明されて、スーパーコンピューターを使えば、宇宙の起源の初期状態がわかれば、現在の自分の状況や未来まですべて自動的に計算できると思い込んでいました

二つの量 = 位置と運動量、時間とエネルギー、など

不確定性原理は、位置と運動量だけに限った話ではないのですね。。。ひとつ理解が深まった

二つの不確かさの積は、常にプランク定数ℎ(6.582 x 10⁻²⁵ GeV)よりも大きくなる

いきなり理解できません。。。

古典物理学で世界が規定されるなら、プランク定数はゼロとなり、基本的量子は存在しなくなる

なんとなくわかったような、つまり、プランク定数という超微小な値より厳密に決められない、ということですね

蛇口から滴る水滴の例え話、時間と頻度の積は常に1である

なんとなく、理解が深まりました。

運動量が高い = エネルギーが高い

なので、

短い距離を探るには高エネルギーを使うしかない

ということですね


ウィークスケールエネルギー(250GeV)

弱い力と素粒子の重要な性質の要因になっている

大型ハドロン加速器(LHC)での測定が数年以内に可能になるそうです

プランクスケールエネルギー(10¹⁹ GeV)

古典的な重力理論が適用できる最大のエネルギー値である ???

これを超える状況では、量子力学と重力の両方を矛盾なく記述する重力の量子論が不可欠となる

理解できません。。。

スピン
ボソン(光子)
フェルミオン(陽子、中性子、電子)

例:
光子はボソンでスピン1を持つ
陽子はフェルミオンでスピン1/2を持つ

粒子の「スピン」は実際の空間での運動とはまったく対応していない

固有スピンは粒子の固有の性質

理解できません。。。

パウリの排他原理で、同じタイプのフェルミオンが二つ同じ場所にいることは有り得ない

ボソンなら同じ場所に見つかる

終盤のほうは、内容が専門的過ぎてピンと来ませんでした。。。

(2024年5月23日 追記)

3. 素粒子物理学

第7章 素粒子物理学の標準モデル

電子はそれ以上には分割できない

量子電磁理論では、電磁気力は「光子」という粒子の受け渡しによって生じる

電子→光子を放出 光子が別の電子に電磁気力を伝えて消滅する

電気信号が、導線の抵抗がゼロであれば最大で光速で伝わるという原理ですね。。。この電子と光子のやり取りは、高校物理で習ったはずなのに、すっかり忘れていました。

量子電磁理論(QED)

ファインマン図


場の量子論によれば、粒子(電子や光子)はいつどこでも生成や消滅をさせられる

真空とは「無の空間」ではなく、常に粒子が発生したり消滅したりするエネルギー場ということで理解しました。

反粒子は自然界では存在しないが、加速器の内部や、宇宙の高温の領域などで、一時的になら生成される。

反粒子というのはSFの話ではないらしい

弱い力:多くの核過程にとって欠かせない、核崩壊の要因、重い元素の生成要因

ここでまたスピンの話。。。パリティ対称性。。。まったく理解できません

ニュートリノは弱い力を通じてのみ相互作用をする

中性子の崩壊(ベータ崩壊) → 電子、陽子、そしてニュートリノの3つを生み出す


ベータ崩壊は、原子爆弾のプルトニウム連鎖反応を引き起こすのは、先日訪れたラスベガスの核実験博物館でも学びました。

HOW FAT MAN WORKS ? | Nuclear Bomb ON Nagasaki | WORLD'S BIGGEST NUCLEAR BOMB | Learn from the base.


ただし、核爆発の連鎖反応で発生するニュートリノ自体は、放射線被ばくの主要な要因にはなりません(放射線被ばくは主にガンマ線が原因)

被爆の恐ろしさは、1999年9月に起きた茨城県東海村での臨界事故のドキュメンタリー『朽ちていった命』に詳しいです。


本篇の内容に戻ります。

クオーク:強い力に反応する
レプトン:強い力に反応しない(電子、光子など)

以下のクオークとレプトンの種類は、まったく覚えられないのですが、取り敢えず掲載しておきます


素粒子
  クオーク:陽子や中性子を構成する最小単位、アップ、ダウン、ストレンジ、チャーム、トップ、ボトム(12種類)
  レプトン:強い力を感じない素粒子、電子、ミューオン、タウ、ニュートリノ(9種類)

ハドロン(素粒子ではない):陽子や中性子など(たくさんある)

ミューオン:負の電荷、ただし電子よりも200倍も重い(崩壊すると電子になる)、何のために存在しているのか解明されていない

弱い力の奇妙な特性:10⁻¹⁶cmという非常に短い距離のあいだで急激に消えてなくなる

重力や電磁気力と違う

なぜか?それはウィークボソンが(グルーオンと違って)質量を持っているから

ゲージボソン:基本素粒子の一つ、ある特定の力を伝える役目を持つ素粒子の総称
 光子(電磁気力)
   ウィークボソン(弱い力)
   グルーオン(強い力)

ウィークボソンが質量を持つ理由は、ヒッグス機構のため

粒子に質量を付与する厳密なモデルは、今日の素粒子物理学者が抱える最大の謎のひとつである

もはやカタカナ名称のオンパレードで、全く付いて行くことができませんが、取り敢えず先の章に進みます 笑

第8章 幕間実験 - 標準モデルの正しさを検証する

世界最大のハドロン衝突型加速器 (LHC) の稼働開始(2009年) 前は、テヴァトロンという加速器が最大でした。

テヴァトロンはイリノイ州のフェルミ研究所にあり、1994年にトップクオークが発見されています。

(2024年5月29日 追記)

第9章 対称性 - なくてはならない調整原理

宇宙の構造や生命が形成されるためには、標準モデル理論に含まれる素粒子(クオーク、レプトン、ウィークボソン)が重量を持っているからにほかならない

ヒッグス機構:粒子が質量を獲得するメカニズム

空間対称性:方向や位置
内部対称性:区別がつかない複数の物体

ゲージボソンの波は、原則としてはどの方向にも振動できるが、実際には進行方向に対して垂直にしか振動しない

ゲージボソンはそれが媒介する力の作用を受ける粒子と相互作用する

どういう意味なのか理解できません。。。力の作用を受ける粒子って何のことでしょうか?

次のペースをめくったら、この章は終わってしまいましたw

第10章 素粒子の質量の起源 - 自発的対称性の破れとヒッグス機構

何やらいきなりヒッグス機構の真髄に深入りしそうな雰囲気です。

自発的対称性の破れ。。。これは、10年前に観たNHKスペシャル『神の数式』に何度も登場しました。
以下ブログより引用します。

電子に右巻きと左巻きの回転が観測されることを説明するために、カイラル対称性が導入された。しかし、カイラル対称性のためには基本素粒子は重さを持たないという矛盾した結果がもたらされることになってしまった。

この難題を打破したのが、シカゴ大学の南部陽一郎教授である。南部は、「完璧な美しさは現実の世界では崩れる運命にある」という俗にいう自発的対称性の破れを発見したのである。

自然界の設計図に対称性があっても、観測する物理現象には対称性がなくてもよい。つまり設計図ではクオークの重さはゼロであっても現実の世界ではクオークの重さはゼロではない。現実の世界では、クオークと反粒子のペアが生まれては消えることを繰り返しており、クオークのペアが真空の空間をびっしりと埋め尽くしている。。。
クオークが空間を移動するということは、粒子と反粒子の間に引力が発生し、左巻き/右巻きの粒子と反粒子がくっついては消えを繰り返して空間を進むのである。これがクオークの重さとなる。

そして、弱い核力については、ヒッグス粒子という都合のよい粒子の存在を持ち出すことによって説明がなされた。ヒッグス粒子が空間をびっしりと埋め尽くしているため、これに邪魔されることで、電子が動きを邪魔されて重さとなるというのである。ヒッグス粒子はCERNにおける陽子を光速で1秒間に4000万回も衝突させる実験の結果、1964年に提唱されてからほぼ50年後の2013年にようやく存在が証明された。

宇宙の初期には粒子に重さはなかった。素粒子は自由自在に飛び回っていた。やがて自発的対称性の崩れにより粒子に重さができた。。。そして星が生まれ、現代のような物質の世界ができたというのだ。

(引用おわり)

。。。一体全体何のこっちゃー!

鉛筆が一斉に倒れる番組のシーンしか覚えていません。。。10年前には理解できていたかもですが 笑

とにかく。。。対称性では粒子に重さがなく、対称性の破れによって粒子に重さができた、とだけ理解しておけばよいでしょうか。。。

ヒッグス機構は、標準モデルの素粒子(クオーク、レプトン、ウィークボソン)がどのように質量を獲得するかを説明する

弱い力(と強い力)は、電磁気力と違って、なぜ限られた極めて短い距離の間でしか作用しないのか?

もし短い距離でしか力を伝えないのであれば、弱い力を伝えるゲージボソンは質量ゼロでは有り得ないのだ

質量ゼロの光子(電磁気力)は無限の距離まで作用する

ほかの素粒子(クオーク、レプトン、ウィークボソン)はみんな質量があるとしか考えられない

クオーク、レプトン、ウィークボソンは質量があるので、内部対称性を保存しない

ゲージボソンに質量があったら、この理論の高エネルギー予言は意味をなさないのだ

理解できません。。。高エネルギーの予言って何?

粒子が100%以上の確率で相互作用をする計算になってしまう

質量のある物質を加速器で衝突させたら大爆発するということ?

ゲージボソンが起こしうる三つの偏極から一つを排除する内部対称性を理論に含めたかった一つの理由は、内部対称性のない理論だと、先ほど述べたのと同じようなばかげた予言がなされてしまうからである

???

内部対称性を含めない最も単純な力の理論では、高エネルギーのゲージボソンは質量の有無にかかわらず、すべて別のゲージボソンとありえないほど頻繁に相互作用することになってしまうのだ

???

質量のないゲージボソン(光子)に偏極は2つ
質量があるゲージボソン(クオーク、レプトン、ウィークボソン)に偏極は3つ

質量のあるゲージボソンが静止しているとき、3つの方向がすべて対等となる

つまり、垂直に立っている鉛筆がどちらに倒れる方向がわからないのと同じ?

質量のあるゲージボソンが運動しているとき、運動方向に沿って振動する波を縦偏極という(音波の振動方向など)

内部対称性と3つめの偏極は相容れない!?というのはどういう意味か?

高エネルギー(250GeV以上):内部対称性〇 3つめの偏極×
低エネルギー(250GeV未満):内部対称性× 3つめの偏極〇

(250GeVはウィークボソンの質量)

ヒッグス機構は自発的対称性の破れにもとづいて、低いエネルギーにおいてのみ、弱い相互作用の内部対称性を破る

これがどうやら結論らしいが、サッパリ理解できない。。。

ヒッグス粒子は非常に重いので、通常の物質には見つからない

弱い力の対称性は短距離(これは量子力学と相対性理論に従えば高エネルギーと同義)では保存されながら、長距離(低エネルギーと同義)では破れるようになっている

ヒッグス粒子(ヒッグスボソンともいう)が250GeVの質量(E=mc²)を持っている場合だけで、それより大きいと弱い力の理論は成り立たなくなり、それより軽いと大きな理論上の問題を呼ぶ。

つまりヒッグス粒子の重さは250GeVちょうどでなければならないということか

それがあとで見る余剰次元モデルのいくつかも、その動機から生まれている

???

ヒッグス機構についてまるで理解できませんでしたが、これでこの章はオシマイですw

(2024年6月4日 追記)

第11章 スケーリングと大統一 - 異なる距離とエネルギーでの相互作用を関連づける

量子力学では、力の強さは距離の二乗に逆比例するという法則を変質させる

真空はからっぽとされていても、量子効果によって現れたり消えたりする仮想粒子と反粒子がうようよ存在する

ある特定の物理的粒子の一群が相互作用する個々の過程を、ここでは「経路」と呼ぼう。経路には仮想粒子がかかわることもあるし、かかわらないこともある。仮想粒子がかかわる場合は、その経路を「量子補正」と表現する。

量子補正。。。粒子の媒体に重要なキーワードのようですが、今一つ理解できない。。。

通過しうるすべての経路からのすべての寄与を計算してみると、計算の結果、真空は光子が電子から受取って運んでいたメッセージを薄めていることがわかる。

グルーオンと光子の大きな違いは、グルーオンどうしが相互作用をすることだ。

強い力は距離が長いほど大きくなるために、強い力の作用を受ける粒子は、別の強い相互作用をしている粒子から過度に遠くまでは離れられない。

著者はここでトロイ戦争を比喩に挙げますが、わかったようなわからなような。。。

クオークと反クオークをさらに引き離そうとすると、真空から新しいクオークと反クオークが生まれてくる

ここではボストンの道路事情(車間が広がると横入りする)が比喩として挙げられてます

「大統一理論」
高エネルギーでは、四つの力が統一される
↓温度が下がり、自発的対称性の破れを通じて三つの力が別々になった
低エネルギーでは、重力を除く三つの力のみが統一される

陽子の崩壊を予言 (まだ検出されていない)
クオークはレプトンに変われる

いろいろと後のトピックに繋がる重要そうな記述が出てくるのですが、どうしても腑に落ちないのは、全体像が良く見えないからでしょうか。。。読んでいてフラストレーションが溜まってしまいました。

第12章 階層性問題 - 唯一の有効なトリクルダウン理論

ウィークスケール質量(ヒッグス粒子=ウィークボソンの質量)の値が、理論値よりも1京分の1も低いのはなぜか

対称性によって結びつくとされる二つの粒子が、とてつもなく異なる質量をもっているのはなぜか

ヒッグス粒子の質量に対する量子補正

パラメーターの微調整というごまかし


プランクスケール質量(高い質量)が出てきて、もう完全に理解不能に陥りました。。。笑


トリクルダウン理論:富裕層に資金を振り向ければ、それが自然に貧困層にも浸透するという経済理論

ある質量が大きければ、量子補正によって、すべての素粒子の質量が同程度に大きくなると予想される。すべての粒子が最終的には豊かな質量になるわけだ。

第13章 超対称性 - 標準モデルを超えた飛躍

対称性:時間と空間(相対性理論)
超対称性:ボソンとフェルミオンを入れ替える新しい奇妙な対象変換(まだ仮説)

何度覚えても忘れてしまうので以下再掲
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ボソン(光子)
フェルミオン(陽子、中性子、電子)

ゲージボソン:基本素粒子の一つ、ある特定の力を伝える役目を持つ素粒子の総称
 光子(電磁気力)
   ウィークボソン(弱い力)
   グルーオン(強い力)

素粒子
  クオーク:陽子や中性子を構成する最小単位、アップ、ダウン、ストレンジ、チャーム、トップ、ボトム(12種類)
  レプトン:強い力を感じない素粒子、電子、ミューオン、タウ、ニュートリノ(9種類)


ハドロン(素粒子ではない):陽子や中性子など(たくさんある)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

1. 超対称性を組み込んだ超ひも理論は、標準モデルの粒子を生むことができるとわかっている唯一のひも理論である

2. 超対称性は階層性問題(なぜヒッグス粒子が極端に軽いのか)を解決できる可能性を持っている(もうひとつの解決できる候補が余剰次元理論)

粒子とその超対称性パートナーの呼称一覧


超対称性では、質量に対する多大な量子補正(16桁の補正)が不要となる


しかし、既知の粒子とまったく同じ質量と荷量を持つスーパーパートナーはまだ何も見つかっていないのは、加速器がまだ十分な高エネルギー(250GeV以上)に達していないから?

本著の発行後、2012年にCERN(欧州原子核研究所)で発見されたヒッグス粒子の質量は126GeVでした。

超対称性を含めた標準モデルの拡張版であれば、三つの力(強い力、弱い力、電磁気力)の強さは高エネルギー(10¹⁶ GeV)領域で同等となり、三つの力が統一される可能性がある


超対称性には、ダークマターのもっともらしい候補が含まれている(ダークエネルギーは説明できない)。

ダークマター:全宇宙のエネルギーの25%が何らかの物質に蓄えられている
ダークエネルギー:全宇宙のエネルギーの70%が物質に蓄えられていない状態で存在する

最も軽い超対称性粒子(フォティーノやウィーノなど)は崩壊せず、ダークマターの候補となる

超対称性の「フレーバー問題」:クオークやレプトンを同じ電荷を持った別の世代のクオークやレプトンに変える過程が、自然界ではごく稀にしか起こらないが、超対称性では非常に頻繁に起きなくてはならないという矛盾

(2024年6月12日 追記)

4. ひも理論とブレーン

第14章 急速な(だがあまり速すぎてもいけない)ひものパッケージ

相対性理論と量子力学は、プランクスケール(10⁻³³センチメートル)で折り合いがつかなくなる(どちらも成立しない)

グラビトン(重力子):量子力学で重力を伝達する粒子 スピン2の質量のない粒子

宇宙の始まりは、小さな火の玉 = プランクスケール長さ

粒子はひもの振動から生じる
十分なエネルギーを持ったときさまざまな種類の粒子を生む
振動の特徴が粒子の性質を定める

開いたひも
閉じたひも

共振モード = 振動モード?

軽い粒子 = 振動数が少ない

ひも自体は一つの空間次元に沿って伸び、時間に沿って(多次元を)移動する

グリーンとシュワルツは、ひも理論がアノマリー(異常:古典理論の対称性は保存されない)を避けるのに必要な制約を満たせることを示した(1984年)

特定の力においてはアノマリーの総和が、10次元(9つの空間次元と1つの時間次元)の超ひも理論では、奇跡的にゼロになることを示した

ヘテロひも:左向きに動く波と右向きに動く波とは違う
余剰次元のコンパクト化:カラビ - ヤウ多様体

現在の実験のエネルギーでは、ひも理論の予言する多くの新しい重い粒子を見つけられない

16桁も小さい

天文学者が宇宙の真空エネルギー(ダークエネルギー、あるいは宇宙定数ともいう)を測定したところ、小さなプラスの値が出た

宇宙の膨張が加速しているのは、真空エネルギーがプラスの値だから なぜ?

ひも理論の概算に従えば、エネルギーはずっと大きくなるはずなのである

宇宙の真空エネルギーが小さくなければならないのはわかっているが、どうしてそのように小さいのかを、ひも理論はまだ説明できていない

巻き上げられた次元の大きさと形状にはさまざまなものが考えられ、宇宙が包含できるエネルギー値にもさまざまな選択肢がある。

宇宙には多くの断絶した領域は収容されていて、各領域で真空エネルギーも異なっており、私たちの住む宇宙の一部分がたまたまその値のエネルギーをもっていた、と考える。

まさに人間原理!

第15章 脇役のパッセージ - ブレーンの発展

ブレーンは粒子を包含することができ、ブレーン内の粒子はその次元だけに沿って移動する

M理論: 超ひも理論と11次元のどちらも包含する11次元理論

Dブレーン:開いたひもの両端がいられる場所

ある次元に沿っては無限に伸びるが、別の方向ではある一定の位置に留まっている

ブレーンには有限の張力とゼロでない荷重がある

1995年の「第二次超ひも革命」

pブレーン:ある空間方向には無限に伸びるが、それ以外の次元ではブラックホールのような働きをして、その近くに寄り過ぎたものをとらえて放さなくなる

pブレーンはDブレーンと同じ

「双対性」は、素粒子物理学とひも理論における、ここ10年の最も刺激的な概念のひとつである

二つの理論が同じ理論であるながら異なる記述をする場合、その二つの理論は双対であるという。

ひもの結合定数

ひもが強く相互作用すると、扱いにくい

11次元の超対称性理論:低エネルギーでは、ひもの結合を強くした10次元超ひも理論の一種が、まったく違うと大半の人が思うであろう別の理論(11次元の超対称性理論)と完全に等しいことを示した(1995年)

まとめ:強く相互作用する10次元超ひも理論は、「双対性」によって、弱く総合作用する11次元の超対称性理論と同じになる(M理論)

11次元の理論の(荷量を持った)粒子は、10次元の理論のD₀ブレーンと合致する

第16章 にぎやかなパッセージ - ブレーンワールド

粒子とひもとブレーン


ゲージボソン:基本素粒子の一つ、ある特定の力を伝える役目を持つ素粒子の総称
 光子(電磁気力)
   ウィークボソン(弱い力)
   グルーオン(強い力)

離れたブレーンにある粒子どうしは直接の相互作用をしない

しかし、離れたブレーン上にある粒子どうしでも、バルクのなかを自由に移動できる粒子や力があれば、互いにコミュニケーションができる

どっちやねん?!

重力を伝えるグラビトンが、こうしたバルク粒子のひとつである

グラビトンは閉じたひもの1モードである

HWブレーンワールド


11番目の次元の境界となる2枚のブレーンを持った11次元理論は、10次元のヘテロひもと双対である

9つの空間次元をもつ境界ブレーンを2枚含む11次元理論として記述する

6つの次元がカラビ - ヤウ図形に巻き上げられている

HW宇宙は、4次元の境界ブレーンを持つ5次元の有効理論

(2024年6月13日 追記)

5. 余剰次元宇宙の提案

第17章 ばらばらなメッセージ - マルチバースと隔離

別々のブレーンに隔離された粒子

3つの次元内での隔離は有り得ないが、高次元空間では、光子も電荷を帯びた物体も、常にどこにでもいられるとは限らない

なぜ陽子の崩壊が余剰次元モデルでは起こらないのかという問題も、隔離によって説明できるかもしれない

超対称性の破れの原因となる粒子を標準モデルの粒子から隔離して、その両者間に望ましくない相互作用を起こさせないようにするというもの


何を言っているのか理解できません。。。

グラビトンによる対称性の破れの伝達を「アノマリー仲介」と称した。



ゲージーノ:素粒子物理学の超対称性理論から導かれる未知の超対称性粒子。 素粒子間の相互作用を媒介するゲージ粒子の超対称性パートナーの総称。 フォティーノ、ウィーノ、ジーノ、グルイーノ、グラビティーノがある。

ゲージボソンのスーパーパートナー(ゲージーノのことか?)を探す実験が、いままさにイリノイ州のフェルミ研究所にある陽子反陽子衝突型反加速器テヴァトロンで行われている。

調べてみました、すると。。。

米国フェルミ国立加速器研究所で大型国際共同実験CDF(重心系エネルギー TeV 2の陽子・反陽子衝突実験)を行っているテバトロン衝突型加速器の運転が 2011 年 9 月30 日午後2時(米国中央夏時間,日本時間10月1日午前4時)に終了しました(高エネルギー物理学研究者会議のサイト)。

結局スーパーパートナー(ゲージーノ)は見つからずにテヴァトロンは2011年に運転を終了してしまったようです。

第18章 おしゃべりなパッセージ - 余剰次元の指紋

カルツァ - クライン粒子

余剰次元はプランクスケール長さより大きい可能性がある

Chat GPTに訊いてみました

カルツァ - クライン粒子は発見されましたか

ChatGPT
2022年までの情報に基づいてお答えしますが、カルツァ-クライン粒子(またはカルツァ=クライン粒子)は、まだ直接的には発見されていません。これは、超弦理論やその他の理論で提唱されている仮想の粒子であり、その存在を確認するためには、現在の技術や実験では不十分です。超弦理論やブレーン理論などの理論は、カルツァ-クライン粒子の存在を予測していますが、これまでのところその存在を確かめるための実験的な証拠は得られていません。

第19章 たっぷりとしたパッセージ - 大きな余剰次元

非常に大きな次元

アルカニ=ハメドとディモポーロスとドゥヴァリ(ADD)ADDモデル

非常に大きな次元が重力の弱さをどう説明できるかについて


加速器で形成されるブラックホールは、この宇宙にあるブラックホールよりも遥かに小さくなる。ホーキング放射という現象を通じて放射を発することにより、蒸発してしまうからだ。小さいブラックホールは大きいブラックホールより早く蒸発する。

以下はLHCの稼働(2008年)時のニュース記事より。

【9月9日 AFP】スイスにある欧州合同素粒子原子核研究機構(European Organisation for Nuclear Research、CERN)は10日に巨大粒子加速器「大型ハドロン衝突型加速器(LHC)」を稼働させる。「この実験で地球が消滅してしまうのでは?」と心配している人もいるが、そんな人たちを安心させる安全性評価が5日発表された。

■ネット上に「LHC実験で地球が消滅」の憶測

「LHCが放出する巨大なエネルギーが巨大なブラックホールを生みだして地球が飲み込まれてしまう」「ストレンジレットと呼ばれる粒子が発生して地球を奇妙な物質の塊に変えてしまう」――LHC稼働を前に、ネット上にはこうした様々な憶測が飛び交っている。

 プロジェクトは、CERNの科学者らが2003年に行った安全性評価を基に始動したものだ。今回CERNの物理学者5人が英国物理学協会の機関紙に発表した新たな安全性評価は、ちまたに蔓延する不安を一掃するために新たな視点で書かれている。

 LHCは「地球が高エネルギーの宇宙線の経路とぶつかった状態」を再現するが、安全性評価は、「このような衝突は、地球がこれまでに何十万回と経験してきたことだが、地球はいまだに存在しているではないか」と指摘する。

 LHCでは、反対向きに移動する複数の水素原子ビームが、強力な超電導磁石に誘導され、バスほどの大きさの4か所の測定器で光速に近いスピードで正面衝突する。

 このとき目に見えない「ヒッグス粒子」の存在が確認されれば、質量の性質、重力の脆弱性、未知の次元など、物理学の大きな謎の解明につながる可能性がある。

■安全性評価の「反論」

 水素原子ビームが衝突する際のエネルギーは2匹の蚊が衝突する程度のもので、したがって生成されるブラックホールは極めて小さなもので弱々しく、発生とほぼ同時に消滅すると、安全性評価は説明する。

 また、ストレンジレットが発生するとの仮説については、米エネルギー省ブルックヘブン国立研究所(Brookhaven National Laboratory)の衝突型高エネルギー重イオン加速器のデータを引き合いに出し、「LHCでは発生しない」と述べている。

こちらのサイトではさらに簡易な記述が。

最近では、超弦理論で従来仮定されているプランクスケール(10⁻³³ cm)より十分大きく広がったlarge extra dimension(ADDモデルのことか?)の存在の可能性が広く議論されています。このモデルによれば、重力の基本スケールは、TeV(=10¹²eV)のオーダーまで下がると考えられており、その結果、LHCにおいて、重力相互作用によるブラックホールの発生の可能性が指摘されるに至っているわけです。

LHCでのブラックホールの発生は、陽子-陽子衝突において、陽子中のパートンが高次元時空で定義されるシュバルツシルト半径以下に近づき、かつ、その衝突エネルギーが重力の基本スケール(プランク質量)よりも大きいときに実現されます。
ブラックホールの生成断面積[生成頻度]は、主に、プランク質量とパートン同士の衝突エネルギーに依存しており、もし、プランク質量が1TeV程度であれば、LHCにおいて、1年間に100万個から1000万個のブラックホールが発生するという見積もりもあります。

なお、モデルによると、加速器で生成するブラックホールは、サイズが小さく、また、生成後10⁻²⁶秒という、極めて短い時間で崩壊してしまうため、ブラックホールときいて、巨大な宇宙天体を思い浮かべた方には、少し違和感を与えるかもしれません。
但し、このミニブラックホール生成崩壊事象の解析からでも、ブラックホールの性質の直接的検証は可能であり、この全くもって未知の領域への追求が、とてつもなく面白い研究となることは間違いないと断言できることでしょう。

LHCによるブラックホール生成の話はこれくらいにして。。。

(2024年6月17日 追記)

第20章 ワープしたパッセージ - 階層化問題に対する解答

二つのブレーンにはさまれた時空の「歪曲した幾何」(歪曲した5次元世界)

これが正しければ、まもなく観測可能な影響が粒子加速器に表れるということだ


エネルギーを帯びた二枚のブレーン

グラビトンはもはや、重力ブレーンとウィークブレーンという二枚の境界にはさまれた5次元の空間に、どこにでも等しく存在する確率を持たない

KK粒子のスピンの値 - スピン2 - は、新しい粒子が重力と関係していることを示す仮想のIDタグとなる

現時点(2024年)で発見されていないということは、この「歪曲した幾何」モデル(1999年)は誤りであったということでしょうか。。。??

調べてみたると、最近(2024年3月)グラビトンの候補らしき粒子が発見されたことがわかりました。


米国のコロンビア大学(CU)をはじめとした国際研究により、非常に低温かつ強い磁場下でのみ出現する量子的現象(電子液体)の内部に、重力子のような特性をもった粒子を発見しました。

重力子には時空の曲がり具合、つまり重力波を伝えるために、他の素粒子には存在しない「スピン2」と呼ばれる特性があると考えられています。

驚くべきことに、新たに発見された粒子はこの「スピン2」の特性を持っていました。

(引用おわり)

LHCではなく、電子液体のなかで発見されたということです。

第21章 ワープ宇宙の注釈つきアリス

(省略)

第22章 遠大なパッセージ - 無限の余剰次元

第20章と同じ5次元の時空であるが、ブレーンが1枚しかないモデル


5番目の次元は無限に延びている(無限の余剰次元)

グラビトンがブレーンの近くに局所集中している

いまのところ、局所集中は、この宇宙に余剰次元があることを説明する新しい魅惑的な理論上の可能性でしかない

第23章 収縮して膨張するパッセージ

重力がまさしく局所的な現象(遠く離れたところでは重力がまったく違って見えるかもしれない)

ひょっとしたら私たちは5次元宇宙のなかの4次元重力をもった隔離ポケットに住んでいるのかもしれない

6. 結びの考察

第24章 余剰次元 - あなたはそこにいるのか、いないのか?

重力が違う距離スケールでは違うふるまい方をすると知っている(きわめて短い距離、大きいスケール、非常に大きい距離)

次元の数とは?

空間内の1点を特定するのに必要な物理量の数として定義

反ド・ジッター空間:双対的な四次元空間が存在する(5次元理論のすべてのものが4次元理論に相似物を持っている)

T双対性:外見の異なる二つの幾何の間に同等性があること

鏡面対象:6次元が巻き上げられてカラビ-ヤウ多様体になっているときのひも理論に適用される

マトリックス理論:10次元を移動するD₀ブレーンのふるまいと相互作用を記述する

10⁻³³センチメートルのプランクスケール長さのような小さい領域に多大なエネルギーを投入すれば、そこにはブラックホールができてしまい、その内部で何が起こっているかを知るのは、もはや不可能になる

第25章 結論 - さいごに

LHCの実験結果に期待。。。

本著の後半に提示されている数々の仮説は、LHC稼働での実験によって証明されるのではという期待で締めくくられています。

が、LHCが2010年春から本格運転を開始し順調にデータを蓄積していますが、14年経過した現在、未だに大きな発見のニュースは届いていません。

気長に待つしかないのか、LHCの出力では不十分なのか。。。いずれにせよ、余剰次元モデルの是非について新しい進展を心待ちにしたいと思います。

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