「多世界宇宙の探検」永久インフレーション理論による無からの宇宙創成

ゴールデンウィーク連休を利用して、宇宙研究の世界的な第一人者アレックス・ビレンケンの『多世界宇宙の探検』をようやく読了しました。


『多世界宇宙の探検』
(アレックス・ビレンケン、2007年)


本著『多世界宇宙の探検』は、インフレーション理論や人間原理など、現代宇宙論のポピュラー・サイエンス書です。


少し前に読んだ『宇宙のランドスケープ』と似たテーマですね。


[宇宙のランドスケープ] 現代物理学をわかりやすく解説した超力作 - 宇宙定数と人間原理の関係を解き明かす

著者が主張する、永久インフレーション理論によると、量子論の「トンネル効果」によって、宇宙は時間も空間もない「無」から泡のように誕生したのだという。


無限の宇宙では、物理的に可能であれば、どのような稀な現象もいずれは発生するということですが。。。


我々の住んでいる閉じた宇宙が、真空のゆらぎから誕生する確率は、サルがタイプライターをでたらめに叩いてシェイクスピアの『ハムレット』の全文ができる確率より遥かに小さいのです!


「無」からの宇宙創造というシナリオは、神がこの世を創ったという宗教論に科学者としての立場から真っ向から対峙します。


当然、本著をすべて理解することなど到底不可能。。。読み進めるのは容易ではなく、これまでに一体何度寝落ちしたことか 笑

それでも、最新の物理学が描く宇宙論は興味が尽きません。またまた宇宙論の傑作本に巡り合ってしまいました。

0. 『多世界宇宙の探検』

以下はアマゾンの書籍紹介からの引用です。


初期宇宙研究の世界的な第一人者として名高いビレンケンが、現代宇宙論の面白さを語り明かす。アラン・グースのインフレーション理論がなぜ一夜にして大きな成功を収めたのか。当初、そこにはどんな理論的問題があったのか。その問題がどのように克服されて、ビレンケンの「永久インフレーション」モデルやアンドレイ・リンデの「カオティック・インフレーション」モデルに結びついたか。ホーキングやビレンケンの宇宙創成モデルとはどのようなものか。ひも理論のアイデアと現代の宇宙論がどのように関係しているか、といった話がユーモアを交えて語られる。

宇宙は有限であるのか無限であるのか、といった古くからの宇宙の謎の数々に対して、ビレンケンは永久インフレーションの考えに基づいて、驚くべき答えを出す。すなわち、宇宙は無限であると同時に有限、進化しているのに静的、永遠でありながら始まりがあったというのである。

さらに、宇宙の遠く離れた領域に、地球とまったく同じ惑星が無数にあり、そこでは私たちとまったく同じクローンが暮らしていて、その中の何人かは本書とまったく同じ本を手にしている、とビレンケンは予言している。

世界天文年2009日本委員会の公認書籍。


(目次)
    第1部 宇宙創世記(ビッグバンはどのようにして起こったか;反重力の栄光と凋落 ほか)
    第2部 永久インフレーション(反重力の石碑;ランナウェイ・インフレーション ほか)
    第3部 「平凡の原理」(宇宙定数の問題;人間原理の論争 ほか)
    第4部 始まりに先立つ(宇宙には始まりがあったのか;無からの宇宙の創造 ほか)

    Amazonのカスタマーレビューでは、星5つ中4.5という高い評価を受けています。

    以下は著者のアレックス・ビレンケンの紹介(本著より抜粋)です。

    アレックス・ビレンケン

    タフツ大学の物理学教授。「永久インフレーション」と呼ばれる宇宙モデルや、「無からの宇宙創生」を提唱したことで世界的に知られている。

    旧ソ連に生まれ、動物園の夜間警備員などのアルバイトをしながら、物理学を学んだ。1976年に米国に移住して博士号を取得、タフツ大学の教員となり、それ以来一貫して宇宙論研究に取り組んできた。

    元はウクライナ共和国出身の科学者です。

    【これから随時書き足します】

    1. 宇宙創世記

    反発力として働く重力によって宇宙は膨張した(アラン・グース)

    反重力物質は、膨張しても物質の密度が常に同じである

    重力エネルギーは負なので、物質の正のエネルギーが大きくなるにつれて、負の重力エネルギーの大きさも大きくなるので、平衡が保たれてエネルギー保存則が保たれる。

    宇宙定数 = 真空のエネルギー密度 = 真空の張力(空間を縮ませる方向の働き)

    物質が持つ万有引力としての重力 = 真空が持つ反発力としての重力

    物質を限りなく膨張させると、重力がゼロを通り越してマイナス(反発力)になる!








    反重力物質が崩壊するにつれて、そのエネルギーが放出されて、素粒子の熱い火の玉を生み出す

    2. 永久インフレーション

    反重力に関する現実的な研究プログラム

    インフレーションが続く期間のスカラー場の振舞いとランダム・ウォークの関係

    多世界と並行宇宙:私たちの複製が住んでいる地球は、1ゴーグルプレックス光年の遠い距離にある

    3. 宇宙定数の問題, 人間原理の論争

    真空エネルギーの「ゆらぎ」

    スカラー場が宇宙の場所ごとに違うならば、宇宙定数もまた変化する

    統計分析による永久インフレーション理論の予測

    4. 無からの宇宙の創造

    サイクリック宇宙論と永久インフレーション理論

    ド・ジッター空間

    トンネル効果による閉じたフリードマン宇宙からの膨張の開始

    ユークリッド時間と、「無」という時間


    【以上です】

    [宇宙のランドスケープ] 現代物理学をわかりやすく解説した超力作 - 宇宙定数と人間原理の関係を解き明かす

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