[2020年に観た映画ベスト10] トップは日本劇場未公開の『ホテル・エルロワイヤル』

昨年に続き、今年も観た映画ベスト10を選出してみました。


今年はコロナの影響で、映画館には一度も行かなかったのですが、外出自粛期間が長かったこともあり、約100本の映画を自宅で鑑賞しました。


ちなみに、個人的な嗜好として、大衆向けハリウッドの超大作や人気作にはあまり興味がなく、社会問題をテーマにした映画やカルト的な作品が中心となります。


『ホテル・エルロワイヤル』

以下が、準新作や旧作も含めて今年観た映画のベスト10です(カッコ内は初公開年)。

No.1:『ホテル・エルロワイヤル』(2018)
No.2:『17歳のカルテ』(2000)
No.3 : 『フリー・ソロ』(2018)
No.4:『キャビン』(2012)
No.5:『ラブリー・ボーン』(2010)
No.6:『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(2007)
No.7:『ドニー・ダーコ』(2008)
No.8:『ジャック・サマースビー』(1993)
No.9:『ゴーン・ガール』(2014)
No.10:『ヒューゴの不思議な発明』(2012)

番外:『蜜蜂と遠雷』(2020)『羊と鋼の森』(2018)

2010年以降の作品が7本と最も多く、2000年以前の作品は、『ジャック・サマースビー』(1993)だけでした。

今年は、スティーブン・キング監修のTVシリーズ『キャッスルロック2』(全10回)が傑出して面白かったのですが、ベスト10は劇場用映画から選出したので、『キャッスルロック2』は除外しています。


また、今年から観た映画のレビューと評価を、フィルマークスに記録しました。

以下、それぞれの作品の簡単なレビューコメントです(詳細なレビューは順次個別の記事にする予定)。

あらすじはWikiより引用しています(注意!以降はネタばれ満載です)

1. ホテル・エルロワイヤル


あらすじ:1969年、カリフォルニア州とネバダ州の州境の上に立つさびれたホテル「エルロワイヤル」に集まった7人の男女。彼らはお互いに全く関係のない人生を送っていた者たちであったが、全員が重大な秘密を抱えていた。やがて、それぞれの正体と、ホテルに隠された衝撃の真実が浮かび上がってくる。。。

監督:ドリュー・ゴダード
出演:ジェフ・ブリッジス、シンシア・エリヴォ、クリス・ヘムズワース

事前情報ゼロで観たのですが、2時間20分の長尺にも関わらずグングン引き込まれました。

2. 17歳のカルテ


あらすじ:ある日突然、薬物大量服用による自殺未遂を起こして精神科病院に収容されたスザンナ(ウィノナ・ライダー)。パーソナリティ障害という自覚が無く、その環境に馴染めなかったスザンナだが、病棟のボス的存在であるリサ(アンジェリーナ・ジョリー)の、精神疾患である事を誇るかのような態度に魅かれていく内に、精神科病院が自分の居場所と感じるようになっていく。
しかし退院した患者の近親姦を喝破してその患者を自殺に追い込むというリサの行動から、徐々に彼女の行動に疑問を持つようになって行く。だがその事でリサに疎んじられ、他の患者も全員リサに同調して彼女は孤立する。。。

監督:ジェームズ・マンゴールド
出演:ウィノナ・ライダー、アンジェリーナ・ジョリー

アンジェリーナ・ジョリーの実質デビュー作です。彼女はこの作品でアカデミー助演女優賞を受賞しています。

3. フリー・ソロ


あらすじ:『フリーソロ』(Free Solo)は、エリザベス・チャイ・ヴァサルヘリィ(英語版)とジミー・チン(英語版)監督による2018年のアメリカ合衆国のドキュメンタリー映画である。ロッククライマーであるアレックス・オノルドの2017年6月のエル・キャピタンへのフリーソロ・クライミング(英語版)での挑戦の様子がまとめられている。

監督:エリザベス・チャイ・ヴァサルヘリィ、ジミー・チン
出演:アレックス・オノルド

真実のドキュメンタリー映画に勝るものはありません。

詳細は以下のリンクを参照ください。

4. キャビン


あらすじ:大学生のデイナ、ホールデン、マーティ、ジュールズ、カートは週末を近郊の森にある小屋(Cabin)で過ごそうと計画していた。道中、行き先を尋ねたガソリンスタンドの男から小屋にまつわる不吉な話を聞きつつも、彼らは到着。週末を楽しむ彼らであったが、その夜、突如として地下室の扉が開く。薄暗い室内には物が散乱していたが、デイナはその中からある日記を発見する。。。

監督:ドリュー・ゴダード
出演:クリステン・コノリー、シガニー・ウィーバー

この映画を今年のベスト1位にしようかと思ったほど、衝撃的でかつ独創的なSFホラー映画でした。

5. ラブリー・ボーン


あらすじ:1973年、雪の降る12月のある日のことだった。14歳のスージー・サーモンは学校から家に帰る途中、トウモロコシ畑の中に穴を掘って作った地下の隠れ家に誘い込まれた。そこで彼女は残忍にも殺害されてしまう。連続殺人の新たな犠牲者となったスージーは、その男を知っていた。それは近所に住む男、ハーベイだった。スージーは、天国から家族や友人、そして犯人の人生を見届ける。。。

監督:ピーター・ジャクソン
出演:シアーシャ・ローナン、スタンリー・トゥッチ

監督は『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのピーター・ジャクソン、製作総指揮はスティーブン・スピルバーグという豪華キャストのちょっと切ないファンタジー映画です。

6. ゼア・ウィル・ビー・ブラッド


あらすじ:舞台は20世紀初頭のアメリカ西部。山師のダニエル・プレインヴューは幼い息子のH・Wを伴って油田を探していた。あるとき彼は、サンデー牧場に石油が出る兆候があるという情報をサンデー家の青年ポールから得る。サンデー牧場を訪れたダニエルは家長でポールの父であるエイベルとポールの双子の兄イーライと交渉し、貧しいサンデー家から採掘権を買い取った。ダニエルは仲間を呼び寄せて試掘を開始。数日後、油脈は掘り当てられたが、そのとたんに爆発炎上事故が発生し、採掘を見物していたH・Wは吹き飛ばされて聴力を失う。H・Wは精神的混乱からダニエルの家に火を放ち、ついにH・Wとの生活をあきらめたダニエルは、彼をサン・フランシスコの寄宿舎学校に追いやってしまう。。。

監督:ポール・トーマス・アンダーソン
出演:ダニエル・デイ=ルイス、ポール・ダノ


『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』は、アプトン・シンクレアの『石油!』を原作としたアメリカ映画。


詳細は以下のリンクを参照ください。

7. ドニー・ダーコ


あらすじ:マサチューセッツ州に住む高校生のドニー・ダーコは優秀な姉とダンスが得意な妹を持つ平凡な家庭に暮らしていたが、精神が不安定なため医師の治療を受けている。ある晩、奇妙な声に導かれてゴルフ場へと向かうと、そこにはフランクという名の銀色のウサギがおり、「世界の終わりまであと28日と6時間と42分12秒しかない」とドニーに告げる。翌朝、ゴルフ場で目覚めたドニーが家に戻ると、ジェット機のエンジンが彼の家を直撃していた。学校ではグレアム・グリーンの反社会的な小説のテキストを教える教師が問題になり、また一方では精神的に正しい生き方をレクチャーする信念を持つ教師がいる。ドニーは水道管をこわして学校を水浸しにし、生徒の精神的指導を行っている教師のカリスマ的指導者が実は児童ポルノと関係があることを暴く。。。

監督:リチャード・ケリー
出演:ジェイク・ジレンホール、ジェナ・マローン

映画の系統としては、『マルホランド・ドライブ』『メメント』といった難解な部類に入ると思います。

観る人によって様々な解釈ができる映画なので、ソファでゆったりとくつろいで観るような映画ではありません。

たびたび登場する銀色のウサギは、デヴィッド・リンチ監督の『インランド・エンパイア』に登場する謎のウサギを彷彿とさせます。

腐敗した世界、青春の悩み、人生それぞれ。。。平凡な高校生の主人公を軸に、いろいろな思いが交錯してゆく作品です。

己の日常生活を別の視点から振り返ってみるには絶好の映画だと思います。

8. ジャック・サマースビー



あらすじ:南北戦争終結直後の1860年代後半のアメリカ南部・テネシー州の小さな村。南北戦争に出征していた農園経営者のジャック・サマースビーが6年ぶりに戻ってきた。戦死したと思っていた妻のローレルや村人たちは困惑を隠せない。以前は冷酷な性格で周りから嫌われていたジャックだったが、帰郷後は別人のように周囲との協調を図ったりローレルに深い愛情を注ぐようになる。
これによりジャックは村人から尊敬を集めるようになるが、ジャックのいない間にローレルと恋仲になっていたオーリンだけは彼に疑いの目を向ける。ある日、ジャックが村にやって来た見知らぬ男たちと争うのを目撃したオーリンは、彼が偽物だとの疑いをますます深める。
そんな中、ジャックは喧嘩で人を殺した容疑で逮捕され裁判にかけられるが、ローレルが彼が本物の夫ではないと証言したことで大きな波紋が起こり、裁判の焦点はジャックが本物であるかどうかに移っていく。。。

監督:ジョン・アミエル
出演:リチャード・ギア、ジョディ・フォスター

選出したベスト10のなかで唯一の1990年代の作品です。

この映画も、オールドファッションなラブストーリーか何かだろうと、先入観もなく観たのですが、まさかまさか、そんなヤワな内容とは程遠い、人間の尊厳や本質に迫るヒューマンドラマの大傑作でした。

以下フィルマークスに掲載した自分のコメントを引用します。

ジョディフォスターは美しいだけでなく演技が胸を打つ、存在が如何にも偽物っぽいリチャードギアもハマリ役で、脇役も名優揃い、音楽も撮影も素晴らしい。名誉を選んで死を迎えるテーマは後の「クルーシブル」に影響を与えたに違いない。

こんな名作が埋もれていたとは!

しかしフィルマークスでの評価がなんでこんなに低いのか??というか、評価書いていない人やショボい評価の人が多過ぎ。。。Come On!!

(引用おわり)

9. ゴーン・ガール


あらすじ:5回目の結婚記念日の朝、ニック・ダンは妻のエイミーが失踪したことに気づく。父親の書いた児童文学のモデルとして、子供時代から有名だったエイミーの失踪でメディアは過激化し、夫ニックは、不幸な被害者から次第にの妻を殺した加害者として世間から見られるようになっていく。
一方、回想シーンではエイミーの視点から幸せだった結婚生活が崩壊していく様が、後に発見される日記を引用しつつ描かれる。夫妻は不況の影響で仕事を失い、ニックの母親がガンになったため、エイミーが愛するニューヨーク市から夫の地元である片田舎ーサジへ引っ越さなければならなかった。母親が亡くなった後も、ニックは地元に残り、妻に出資させて妹とバーを経営し、地元の短大で講師を始める。エイミーは、ニックが仕事と偽って出かけ、隠れて元教え子と浮気をしているのを見つけ、彼が自分と出会ったころと同じしぐさを浮気相手にしているのを見て怒りに震える。。。

監督:デヴィッド・フィンチャー
出演:ベン・アフレック、ロザムンド・パイク

以下フィルマークスに掲載した自分のコメントを引用します。

これは文句のつけようがない傑作。結婚生活を極限までに皮肉ったサスペンス映画、最後まで展開が読めない。2時間半の長尺にしてはアホな展開や無駄なアクションもなく脚色も見事。

俳優陣も見事な演技力。どの登場人物も丁寧に描写されており、アメリカ社会の典型的なステレオタイプが総出演で、アメリカ社会の縮図を見ているよう。

(引用おわり)

10. ヒューゴの不思議な発明


あらすじ:1930年代、雪のパリ。モンパルナス駅の時計台に隠れて暮らす孤児ヒューゴ・カブレは、亡き父親が遺した壊れた機械人形とその修復の手がかりとなる手帳を心の支えとしていた少年だった。彼は駅の構内を縦横無尽に行き来して、大時計のねじを巻き、時にはカフェからパンや牛乳を失敬し、駅の中の人間模様を観察する毎日を送っていた。
ある日ヒューゴは、駅構内の片隅にある玩具屋を通りかかる。彼が機械人形を修理するための部品をくすねようとした時、店の主人ジョルジュに捕まってしまい、あの手帳も取り上げられてしまう。ところがジョルジュは、手帳の一ページに描かれた機械人形のスケッチを見て言葉を失い、ヒューゴをけんもほろろに追い返す。さもなければ鉄道公安官につきだして施設送りにすると脅してくる始末だ。あきらめきれないヒューゴは、店じまいをしたジョルジュの後を尾行し、彼のアパルトマンにたどり着く。そこでヒューゴは、ジョルジュ夫妻の養女であるイザベルという少女と知り合う。彼の話に興味を持ったイザベルは、手帳を取り戻す協力をしてくれるという。。。。

監督:マーティン・スコセッシ
出演:クロエ・グレース・モレッツ、エイサ・バターフィールド、ベン・キングズレー

さすが名監督マーティン・スコセッシの作品だけあって、見応え十分、主人公だけでなく、脇役の鉄道公安官などの登場人物の描写も丁寧です。

クロエ・グレース・モレッツも、この時期が一番輝いています(その後の『キャリー』出演などは残念な限りでした)。

以下フィルマークスに掲載した自分のコメントを引用します。

予備知識ゼロで観ましたが、こんな傑作は滅多にない名作だと思います。2000年以降に観た映画のベスト20に入るほど気に入りました。

ハリウッドの低俗化、商業主義が蔓延るなか、このような上質で家族で観れて、尚且つ子供だましではない大人も楽しめる味わい深い名作はなかなかありません。

(引用おわり)

番外として、ともにピアニストをテーマにした日本の名作2本『蜜蜂と遠雷』と『羊と鋼の森』と挙げます。



蜜蜂と遠雷』と『羊と鋼の森』は、映画の内容如何ということよりも、ピアニストとして生きる作品のテーマそのものに個人的に思い入れがありました。

どちらも名作だと思います。

詳細は以下のリンクを参照ください。
以上、2020年に観た映画ベスト10でした。

映画を観るときに、予備知識なしで観るのが一番良いのですが、2時間を費やす覚悟が必要なので、どうしても事前評価を確認してしまいがちですよね。

また、Amazonやフィルマークスのカスタマー評価は、やはり映画の評価というのは個人によって大きく異なるので必ずしも参考になるとは限りません。

どの映画を観るかをネットで調べるには、NYタイムズが選ぶ21世紀のベスト映画25とか、英BBCが選ぶ21世紀のベスト映画ベスト100という海外のランキングを参考にすると、日本国内では知られていない名作や、傑作に出会うことが多いです。

以前、自分の生涯映画ベスト10(2000年以降)という記事を書いたのですが、そのランキングも変わりつつあります。

来年もさまざまな名作や傑作との出会いが楽しみです。

昨年(2019年)の観た映画ベスト10はこちらです。

コメント

  1. 確かに1位は面白かったなあ〜と思い出しました。

    私のはこちらですが、被りが1本もないです!
    https://blog.goo.ne.jp/onscreen/e/832b0e482f1ef169071f3dbb3f61408c

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    1. シアーシャ・ローナンだけが被りましたね!(笑)
      私が知らない映画が多くて今後の視聴リストに参考にさせていただきます。
      ブログ訪問ありがとうございます。

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