[マウンテンバイクで里山ツーリング] 町田市小野路地区でMTBライドを満喫しよう

2月初旬の暖かい日曜日の午後、久しぶりのマウンテンバイクで里山ツーリングを堪能してきました。

今回訪れた町田市小野路地区は、裏尾根幹オフロードツーリングで発見した「関谷の切り通し」の近くにある「都心から最も近い」里山散策コースです。


小野神社近くにある「小野路宿里山交流館」を起点とした約7kmの散策路は、緑と歴史に溢れ、息を呑むほど素晴らしい景観の連続が楽しめます。

適度なアップダウンと、オンロードとオフロードが交錯する変化に富んだコースで、マウンテンバイクで史跡巡りを楽しむには理想的なルートでした。

都心から近い場所に、これほどまでに素晴らしい豊かな自然が残っていたとは本当に驚きです。

1. コース全体図

町田市小野路地区というのは、多摩丘陵のなかでも手付かずの大自然や昔ながらの風景が今でも色濃く残っている地域です。

コースルートは、小野神社近くにある「小野路宿里山交流館」をスタート/ゴールとして、小野山地区の名所や景観を時計回りに巡ります。

町田市小野路地区

上の地図の赤い線が今回の散策ルートです。北側には自転車乗りには有名な尾根幹が通っています。尾根幹沿いにある恵泉女学園大学の脇道を入って南下すると、そこが町田市小野山地区です。

コースはハイキングの散策路としても人気のあるルートなので、マウンテンバイクでの通行ではハイカーに十分注意して、決して猛スピードで疾走などしないように留意する必要があります。

コースの大半は舗装路ですが、上り下りのオフロードの場所も多いので、ロードバイクよりもマウンテンバイクかグラベルバイクが良いと思います。

小野路宿里山交流館周辺散策ガイドマップ

以下、「小野路宿里山交流館」で入手できるガイドマップを参考に、コースルート上の見どころなどを説明します。

このガイドマップに記されている道標は、すべて「まちだフットパス」というロゴが描かれており、コースを辿るのに便利ですね。

まちだフットパスの道標

2. 小野路宿里山交流館

小野路宿里山交流館は、小野路地域観光の拠点となる中心的な施設です。今回のツーリングもここからスタートしました。


小野路宿里山交流館

■所在地:東京都町田市小野路町888-1
■電話番号:042-860-4835
■開館時間:午前9時~午後5時
■休館日:年末年始(12月29日~1月3日)
■交通:小田急線鶴川駅よりバスで所要時間13分、「小野神社前」下車、徒歩2分

観光情報センターとしての役割だけでなく、休憩場も完備しており、食事(うどんやコロッケなど)やお土産品コーナーなども充実しています。

駐車場はありませんが、道を挟んで向かいのTimes駐車場は買い物で30分無料で利用することができます。


お土産品コーナー

休憩室兼食堂

館内には、交流館周辺散策マップが貼ってあり、最新の観光状況がわかります。

交流館周辺散策マップ

里山で見ることができる野鳥の写真もありますね。

野鳥の写真

3. 小野神社~見晴らし広場

小野路宿里山交流館を出て、「小野神社前」信号の交差点を右に曲がると、小野神社の入り口があります。

小野神社

鳥居

小野神社は、小野篁(おの の たかむら)を祭神とする神社ということですが、小野篁は、遣隋使で有名な小野妹子を先祖に持つ貴族だったそうです。

新選組として活躍した人々もこの小野神社をたびたび訪れました。

神社の鳥居の左側を進むと、幹線道路から脇道が3本に分岐しているので、その中央の一番広い道を進みます。

3本の分岐道

案内表示

フラットな道をしばらく進むと、周囲は都会の喧騒から離れた自然豊かな風景に変わり、やがて右手に万松寺が現れます。

万松寺(萬松寺)

万松寺を超えて更に道を進むと、小林草山の俳句の石碑が見つかりました。

小林草山の石碑

梅林の 空拓けゆく 朝かな
草山

訪れたのは午後遅い時間でしたが、こんな俳句がしっくりと心に染入るような、長閑な田園風景が拡がっていますね。

石碑の傍らには、草木塔の案内標識が立っていました。

草木塔の標識

草木塔とは、草や木など自然に対して感謝を表す供養塔のことで、小野路町の草木塔が日本で一番古いものだそうです。

草木塔

ここまで来ると、周囲はすっかり里山の風景ですね。ススキが陽射しに反射して美しい光景です。。。



再び万松寺まで戻り、寺の境内を抜けて、来た道と並行に林道を進みます。


その林道の脇左手に六地蔵がひっそりと佇んでいました。

六地蔵

六地蔵ということですが、数えてみると不思議なことに七体のお地蔵さんが並んでいます。。。


午後の遅い時間だったからなのか、観光客にはほとんど出会いませんでした。

六地蔵を後にして、舗装路の上り坂をしばらく進むと、やがて高台のような場所に出ます。


そこには、都内唯一の牧場である「荻生田牧場」があります。ここは以前の裏尾根幹ツーリングでも訪れた場所です。


荻生田牧場には、約40頭の黒毛和牛が飼育されているそうです。

黒毛和牛

マウンテンバイクに興味を示したのか、こちらに近づいてきました。なかなか迫力ありますね。

牧場近くののどかな畑の風景を束の間楽しんだあとは、先に進みます。

No.4の道標

No.4の道標で左折、そのまま進むと、見晴らし広場に到着しました。ここは天気が良い日には横浜のランドマークタワーが見える展望の良い場所です。


子供連れの家族がピクニックを楽しんでいました。

見晴らし広場の周辺は、落葉が絨毯のように敷き詰められていて、マウンテンバイクで走るとふんわりとした感触が心地よいですね!

絨毯のような落葉

4. 見晴らし広場~送電鉄塔

見晴らし広場の先からは、舗装路が続きますが、落葉が敷き詰められたようになっているので、ここからがオフロードバイクの本領発揮です。

右手の道標にある「順路」という方向に従って右折します。

右手に道標の先を右折

ジョギングランナーとすれ違いました。

ジョギングランナーとすれ違い

No.5の道標を左手に確認してさらに直進します。このあたりは舗装路もかなりガタガタなのでハンドルを取られないように注意しながら進みます。

No.5の道標

ここで道が二股に分かれるのですが、何となく右のオフロード道を進んだところ、木立を通り抜けるような狭いオフロードになりました。

恐らく、左の舗装路のほうがガイドマップのコースだったと思います。

緩やかな上りがしばらく続きます。

狭いオフロード

昨年秋の台風の影響か、倒木が道に張り出しているような場所もありましたが、通行には特に問題はありませんでした。

倒木の場所

この辺りはハイカーにも全く出くわすこともなく、茂みのなかの狭いシングルトラックを進むのでオフロードならではの醍醐味が味わえます!

上り坂を抜けると、そこは広場に。前方には目印となる送電鉄塔が確認できました。

広場

再び舗装路となっており、そこに道標があります。左方向は「ならばい白戸へ」とあるのでそちらに向かいます。

道標

ここからは緩やかな下りになります。舗装路ですが、路面の状態は悪いので注意が必要
です。

緩やかな下り



左側に柵のある区間を過ぎると下り坂は終わりになり、その先に指標が立っているのを見つけました。

指標

指標をよく見ると。。。No.11と書いてあります。

下り坂を走っていて途中のNo.6を見落としてしまったようなので、今来た道を引き返しました。

。。。と、マウンテンバイクが1台通り過ぎました。

1台のマウンテンバイクが

同じようにこのコースを走っている人がいるのですね。

柵の区間まで戻ると、そこには見落としたNo.6の指標と分岐点があったので、そこを鋭角に右折します。

柵の区間

分岐点

ここらへんの道はいつの間にか完全にオフロードになっていました。

前方に大きな送電鉄塔が見えます。

前方に送電鉄塔

このあたりは雑木林ですね、まさにオフロード感覚満載で走ることができてメチャメチャ楽しいです!

送電鉄塔の真横を通り過ぎて、上り基調のオフロードをどんどん進みます。

送電鉄塔を通過

しかしこの散策路は、出会う人が圧倒的に少ない散歩道ですね。

5. 送電鉄塔~奈良ばい谷戸

上り基調の道をしばらく進むと、看板のある分岐路に辿り着きました。ここを右に進みます。

分岐路を右に

ところが。。。恐らくここら辺にあるはずのNo.7の指標が見当たりません。

仕方なく先に進んだのですが、道がどんどん狭くなって、地面には大きな根が至る所に張り出して、まさに本格的な難易度の高いオフロードになってしまいました。

かなりのオフロード

なんとなく、これはコースアウトしてしまったような気がしたのですが、とにかく先に進みます。

あとで地図で確認したところ、どうやら私は「図師小野路歴史環境保全地域」という、区域指定された地域に迷い込んでしまったのでした。


コースはここから下り基調に、というか、かなり傾斜のキツイ下り、しかも木の根が至るところに張り出していてダウンヒルはかなり慎重に降りるしかありませんでした。。。

ダウンヒル

下り坂の最後は、落ち葉が積もっていて傾斜もいよいよ急だったので、落車しないよう無理せずにバイクを降りて押しました。

そして、ようやく見通しの良い広場に出ました!


遥か遠くには近くを通り過ぎた送電鉄塔が見えます。

遥か遠くに送電鉄塔

「図師小野路歴史環境保全地域」の説明の看板がありました。

図師小野路歴史環境保全地域

どうやら、小野路城跡の場所あたりから、ルートを間違えて保全地区を南下してしまったようです。

町田市小野山地区

上の地図で、本来のコース(赤線)から外れてしまい、青線の部分をずっと南下してしまいました。

保全地区は、農家をはじめとする個人の民有地があり、立ち入りは十分注意するようにと看板に書かれているとおり、マウンテンバイクの乗り入れは禁止となっています。

図師町まで南下してしまったので、国道に一旦出て、奈良ばい谷戸方面に向かって国道を北上しました。

国道を北上

500mほど北上すると、No.10の道標を見つけました。

No.10の道標

ならばい谷戸は矢印の方向と案内が出ています。ようやく元のルートに戻りました!

ならばい谷戸の入り口

再び里山らしい景観が眼前に拡がります。

険しい階段

正面の険しい階段は、ルート通りにハイキングで歩いてきた場合に出てくる場所ですね。

ならばい谷戸

ならばい谷戸(奈良ばい谷戸)とは、市民の力で田んぼの再生が進められている地域を指します。

荒廃した谷戸や里山を、町田市が旧住都公団から買い取って、再生し、農と緑の街づくりのモデルに育てている地域ということです。

稲の水田

ならばい谷戸の景観は本当に素晴らしい限り!

途中には大きな炭焼き小屋がありました。

炭焼き小屋

静かな里山の雰囲気のなかを、鹿威しが心地よく響き渡ります。


空を見上げると、雲と青空のコントラストが美しい。。。


こんな大自然豊かな道をマウンテンバイクで走っていると、本当に癒されます。。。


6. 奈良ばい谷戸~関谷の切り通し

やがてNo.11の指標の場所に辿り着きました。往路で反対側から行き過ぎた場所です。

No.11の指標

浅間神社の方面に左折して、坂を上ります。このあたりは舗装路で整備されています。

900mくらい進むと、浅間神社の手前にNo.12の指標を発見。

No.12の指標

この先に浅間神社があります。

浅間神社

浅間神社は、本宮(総本社)が、富士山の山麓である静岡県富士宮市にありますが、こちらは平成4年に木造で新築されたもので、野津田神社の古い中宮が、内部に安置されているそうです。

浅間神社からNo.13の道標に続く道は未舗装のオフロード区間となっています。砂利道なのでスリップに気を付けます。

未舗装の区間

No.13の道標

No.13の道標を過ぎると、ゴール地点の小野路バス停まではもうすぐです。


コースも終盤に近付いてきました。

下り基調となり、舗装道路なのでスピードが出やすいのですが、小型乗用車の往来があるので、自転車はくれぐれも気を付けてください。

私も、調子に乗ってスピードを出して下っていたら、対面から乗用車が突然現れて、急ブレーキ!危なかったです。。。

急ブレーキ!

分岐路

小野路宿通りに出る少し前の分岐路の場所に、「戦車壕跡」の穴があって面白かったです。

戦車壕跡

この戦車壕跡は、戦時中に、製作した戦車の走行テストに利用されたそうで、歴史を感じさせますね。

なんでもこの一帯は、「戦車道路」と呼ばれ、第二次世界大戦中の1943年、「相模陸軍造兵廠」(現米軍相模総合補給廠)で製造された戦車の走行テストおよび操縦訓練を実施するため、旧陸軍が計画した道路の一部だったそうです。

 小野路宿通りに出たら、右折して通り沿いに200mほど進むと、左手にあの有名な「関谷の切通し」へ向かう脇道があります。

小野路宿通り

脇道への入り口はちょっとわかりにくいのですが、注意して見ると、標識や案内があります。

「関谷の切通し」への脇道

道標


しばらく進むと分岐があるので右へ進みます。するといきなり斜度20%以上はあろうかという激坂が現れます。

激坂は短いので頑張って上るとそこが「関谷の切り通し」です。

関谷の切り通し

「関谷の切り通し」とは、 幕末期に近藤勇や土方歳三ら後に新選組の隊士となる剣士たちがこの道を剣術の稽古のために小野路へ通っていった道(布田道)のことです。

関谷の切り通し

「関谷の切り通し」に来たのはこれで3回目です。

いつ来ても絵になる素晴らしい場所ですね!

関谷の切り通しのすぐ奥には、野球グランドがあり、週末は良く子供たちが野球をやっている音が聞こえてきます。

野球グランド

更に進むと、里山のような風景の静かな場所に出ます。野菜も売られていました。


野菜売り場

このルートは鶴川街道に抜ける道になります。

再び小野路宿通りに戻り、小野神社近くにある「小野路宿里山交流館」がゴールです。お疲れ様でした!

全コース走行距離約10km、獲得標高は300mほどです。

今回は、自宅から自走ではなく、自家用車にマウンテンバイクを積んで、野津田公園東第一駐車場(全日500円)からスタートしましたが、都心から町田まで20km弱の距離は往復自走でも十分行ける距離です。

町田市小野山地区は、都心から最も近いマウンテンバイクを満喫できる素晴らしいコースでした。

7. 他人に迷惑をかけずに安全なMTBライドを

今日のMTBツーリングもハイカーとはほとんどすれ違うことはありませんが、たまーにすれ違うときは、MTBを止めて道を譲ることを心掛けています。

これは、東京のマウンテンバイク愛好家の人たちが数年前に策定した「MTB利用自主ルールブック」にも書いてあります。

「MTB利用自主ルールブック」とは、東京都が2014年11月に公表した「東京都自然公園利用ルール」の中に、MTBの利用禁止を示唆する表現が盛り込まれてしまい、MTB愛好者の有志が集まって話し合い、他人に迷惑をかけず東京都の自然公園を永続的に利用できるようにと、制作された小冊子です。

MTB利用自主ルールブック

ルールブックには、ハイカーの安全のために

・登山道では歩行者優先
・歩行者とすれ違うときは自転車から降りて待機
・狭い場所での追い抜きは避け、一声かけて抜かせてもらう

と書いてあります。

小野路地区のハイキングコースは、コースのほとんどは車両の通行もある舗装路なので、MTBで走ること自体は問題ないと思いますが、一部の登山道の区間ではハイカーとすれ違うこともあるので、自主マナーは厳守する必要があります。

小野路地区のハイキングコースをMTBで走って一番感動したのが、その昔ながらの里山の静けさと豊かな自然の恵みです。

一時は土地開発が中断して荒れ放題だった土地を、地元の方々の努力によって現在の素晴らしいハイキングコースが出来上がったことに感謝を忘れずに、これからも安全なMTBツーリングに徹したいと思います。

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