miniDVビデオを撮影日時ごとにファイル分割してDV-AVIで保存する

DVとはデジタルビデオの略です。今となっては古い規格になってしまいました。

もう10年以上昔になりますが、当時はビデオカメラと言ったらDVカムコーダのことを指しました。録画はデジタル形式ですが、保存はアナログなビデオテープ(miniDVテープ)でした。
パナソニックのminiDVテープ

今の最新ビデオカメラは、HDDの保存するものが主流で、録画した映像は、USBケーブルでPCと繋いで簡単に転送することができます。テープに書き込むようなものは姿を消してしまいました。

しかし、当時のビデオテープは、PCに転送するのも一苦労です。なにせUSBケーブルではなく、今やほとんど見ることのなくなったIEEE1394というケーブルを使わなければなりません。

テープを再生できるビデオカメラもいつ故障するかわからないし、テープが劣化してしまうと二度と観ることができなくなってしまうので、過去のビデオテープをそろそろバックアップしようと思い立ちました。

バックアップに必要なものは、パソコン(1394端子付き)、編集ソフト、カムコーダー、そしてカムコーダーとPCをつなぐIEEE1394ケーブルです。

1. PC: Windows10 32bit + IEE1394カード + IEEE1394ケーブル

私のデスクトップパソコンには、PCIエクスプレスのIEE1394カードをアマゾンで購入しました。ノーブランド品でたったの790円でした。Windows10でも問題なく使えます。
【ノーブランド品】PCI エクスプレス 2ポート1394B+1394AカードPCI-E



ちなみにこの製品はロープロファイル用の交換ブラケットが付属しないので、ロープロファイルのパソコンの場合は注意が必要です(ブラケットなしでも使用することはできますが。。。)

ここで注意が必要なのは、PCIとPCIエクスプレスは互換性がないという点です。PCIスロットにはPCIカードしか刺さらないし、PCIエクスプレススロットにはPCIエクスプレススカードしか刺さりません。

IEE1394のケーブルは端子が4ピンと6ピンの2種類があり混乱しますが、通常は片側4ピン(カムコーダー側)、もう片側が4ピン(パソコンに端子がある場合)か、6ピン(パソコン側に端子がなく、1394カードを使う場合)となります。

一方、ノートPCの場合は10年くらい前のモデルには1394端子が標準でついていたのですが、最近のモデルでは消滅してしまいました。

PCカードスロット(PCMCIA)がついているノートPCであれば、以下のようなカードが必要となります(こちらのサイトで2,480円で販売しています)。

Firewire 400 x 2Port 搭載 Express Card / 34 IEEE 1394a x 2 アダプター

一方、最近のExpress CardスロットがついているノートPCであれば、ExpressCard用の1394インタフェースボードが必要となります。
私のノートPC(Lenovo x201s)は1394端子がなく、Express Cardスロットがあるので、こちらのインターフェースボードを購入しました。


インターフェースボード IEEE1394 ExpressCard 34/54 1394A2-EC34

こちらがAmazonで2,000円で入手できるExpress Cardです。Windows標準のドライバで動作します。WindowsXP/7/8.1/10どれでも問題なく動作します。




2. ビデオ編集ソフト:Sony PlayMemoriesHome(無料)


Sonyの無料ビデオ編集ソフトPlayMemoriesHomeは非常に使い勝手の良いソフトです。ビデオをバックアップするだけでなく、切り出しや簡単な編集作業にも対応しています。

ただし、このソフトはSonyの製品を持っている人でないとフル機能使えないようになっています。Sonyのカムコーダー(ハンディカム)やデジタルビデオカメラをPCに接続すると、その製品に対応したコーデックや機能をネットから自動ダウンロードするような仕組みです。

PlayMemoriesHomeはこちらからダウンロードできます。最新版はver5.4.0.0です。

PlayMemoriesHome

PlayMemoriesHomeをインストールしただけでは、IEEE1394経由でのテープの取込み機能はサポートされていません。

IEEE1394でカムコーダーをPCに接続して電源を入れると、テープからの取込みモジュール(TapeImporter)が自動的にダウンロードされます。

テープ取込み機能が追加されました

以降はIEEE1394で繋ぐと自動的に以下のようなテープ取込み画面が表示されるようになります。

テープ取込み画面

取り込み方式はデフォルトでavi(無劣化)のみ、ファイルの自動分割や、ハンディカムの制御など基本的な設定は変更することができます。

取り込み設定

PlayMemoriesHomeは完成度が高く非常に良くできたソフトウェアで申し分ないのですが、残念なのは、ファイル名がビデオの撮影日時ではなく、取込みをした日時に指定されてしまう点です。

DVテープを取り込んで、ファイル名が取り込んだ日時ではなく、テープの撮影日時にできる方法はないか探したところ、それを見事に解決してくれるソフトが無料公開されていました。

3. ファイル名の撮影日時変換:MediaInfo+beyondさんのバッチファイル(無料)


beyondさんのこちらのサイトで公開されているbatファイルとこちらのMediaInfoというフリーソフトを組み合わせると、AVIファイルに記録されている撮影日時情報を読み取って自動的にファイル名(そしてファイルの作成日時)にしてくれます。

インストール方法が通常のフリーソフトと異なり、まずMediaInfoというフリーソフトのCLI版(GUI版やDLL版ではなく)をダウンロードして実行します。

次にbeyondさんの公開しているバッチファイルをテキストファイルなどでコピーして名前を付けます(例えばDV.batなど)。このバッチファイルの中身にファイル名を変更するファイルの格納されているパスが記されているので、それを自分の環境のパス名に変更をします。

例としてEドライブのDVというフォルダにファイルが保存されている場合を以下に記します。
-----------------------------------------------------
@echo off & setlocal

:: mediainfoコマンドへのパス
set mediainfo="c:\Applications\MediaInfo\MediaInfo CLI\MediaInfo.exe"

:: ビデオ格納ディレクトリに移動
E:
cd E:\DV\
-----------------------------------------------------


mediainfoフリーソフト

使ってみるとこれは本当に便利です!

PlayMemoriesHomeで取り込んだファイルはシーン分割されて、1時間のテープを取り込むと30~40個くらいのファイルに分割されて保存されます。

DV.batを実行すると、1分間くらいでこの30~40個くらいのファイル名(そして更新日時も)が撮影日時に変更されます。

これでDVテープの管理で撮影日時が不明という問題に悩まなくて済むようになりました。

撮影日時順にバッチリと整理されて保存されたビデオがシーンごとにライブラリ管理できるようになり、非常に便利です!

PCで管理ができるように

いざというときのバックアップ対策はもちろん、このような形で管理することができるので、過去のイベントが一目瞭然で検索することもできます。

このようにPlayMemoriesHomeとMediaInfo/beyondさんのバッチファイルを組み合わせて使えばminDVビデオの管理はすべてフリーソフトで行うことができます。

ただしこれは、Sony製のハンディカムを使っている場合(もしくは一度Sony製のハンディカムを接続してモジュールをダウンロードしたPlayMemoriesHomeの場合)に限ります。あくまでSony製品に限定されるという点がネックです。

ではSony製以外のビデオカメラを使ってminiDVテープの取込みを行うにはどうすればよいでしょうか。

各メーカーが独自のソフトウェアをビデオカメラに添付しているケースもあると思いますが、ここでは市販の有料ソフトを使った方法を紹介します。

4. 市販ビデオ編集ソフト(その1):Corel VideoStudio X8


定評のあるコーレル社のビデオ編集ソフトです。取込み作業だけなら編集機能は使わないのですが、編集してDVDやブルーレイに焼いたりとさまざまな機能がついてます。

Corel VideoStudio X8

まず、Video Studio X8のインストールですが、注意点として、Video Studio X8のアップデート(SP3)を行ってしまうと、私のWindows10の環境ではディスク編集に行く画面で必ずクラッシュしてしまうので、SP3は(画面で促されますが)入れないほうが良いと思います。


service pack 3は入れないことをおススメします

ややこしいのですが、カムコーダーとPCを接続する手順を以下のようにしないと、取込みの選択肢にMPEGしか出てこないのでAVIで取り込むことができません。

VideoStudioを起動→カムコーダーの電源を起動→再生モードにする→(ここで初めて)カムコーダーに1394のケーブルを差し込む

ケーブルを最後に差し込むという手順が重要です(必ずカムコーダー側のケーブルです)。うまくいかずPCの編集ソフトが落ちたりする場合がありますが、ひとたび成功すれば、あとはそのまま(ケーブルは抜かなくても)続けてテープを取り込むことができます。

取込み形式は、DV(ファイル拡張子は.avi)を選択します。MPEGを選択してしまうと若干ですが劣化してしまいます。DV形式のみが、無劣化で取込みが可能です。

取り込み画面(形式はDV)

この画面でビデオの取り込みボタンを押せば自動的に取り込みが始まります。

VideoStudioにはファイルの自動分割機能があります。画面中央にある「シーンごとに分割」にチェックを入れます。DVテープまるまる1本の60分を分割して取り込むことにより、後の編集作業がラクになるので、分割機能は使うことをオススメします。

残念ながらVideoStudioにはキャプチャーしたファイル名が撮影日時ではなく、そのキャプチャーした日時になってしまいます。これはPlayMemoriesHomeと同じなので、MediaInfo+バッチファイルで別途撮影日時への変換作業が必要です。

また、 取り込みオプションには、撮影日情報をタイトルとして追加という項目があります。

取り込みオプション

この「シーンごとに分割」という機能を使わないで取り込むと、1時間で13GBぐらいの大きなファイルになります。

このファイルをVideoStudioで自動分割して、シーンごとにファイルに出力することができるか試したところ、できるにはできるのですが、結構面倒であることがわかりました。

方法は以下の通りです。

まず、VideoStudioで元のファイルを読み込んだあと、「シーンごとに分割」を選択します。

「シーンごとに分割」を選択

すると、スキャン方法を選択できる画面になります。ここはデフォルトの「DV撮影時間の検出」を選択します。


スキャンボタンを押してしばらくすると、シーンごとに自動的にマークインとマークアウトされ、分割が終了します。

次に分割されたファイルを保存するには、シーンを選択して「ファイル」から「トリムしたビデオを保存」を選択します。

「トリムしたビデオを保存」

デフォルトの保存先(通常はC:\Users\Username\Documents\Corel VideoStudio Pro\18.0)に保存されます。この設定は作業フォルダで変更ができます。

非常に残念なのは、VideoStudioにはシーン毎に分割されたビデオすべてを一括で保存する方法がないことです。ひとつひとつ手作業でやるしかありません。

またVideoStudioは結構な頻度で「動作を停止しました」というメッセージが出て落ちてしまったり、なぜか「書き込み禁止になっているようです」のような摩訶不思議なエラーメッセージが出たりと不安定なのが残念なところです。


「Corel VideoStudioは動作を停止しました」メッセージ

5. 市販ビデオ編集ソフト(その2)Cyberlink PowerDirector 11


VideoStudioの競合製品で、Cyberlink社のPowerDirectorという編集ソフトがあります。二つのソフトは良く似ていて一長一短です。一概にどちらが良いということはありません。

Cyberlink PowerDirector 11

ちなみに一般的にVideoStudioとPowerDirectorの比較ですが、機能と安定性はPowerDirectorのほうが優れていると思いました。一方、処理速度と操作性はVideoStudioのほうが優れているようです。

例えば、シーンのフレーム送り機能では、PowerDirectorではボタンを押し続けても何も起きませんが、VideoStudioのほうは推し続けると徐々にフレーム送りの速度が速くなるのでシーンの検出が断然便利です。

以下Cyberlink PowerDirector 11の使い方です。

キャプチャーというメニューを選択して、あとはデフォルトのままで大丈夫ですが、ファイルの自動分割機能(「シーンごとに分割」)のオプションはちょっとわかりにくいところにあります。

キャプチャー画面

「ファイル」や「編集」といったメニューに横並びに、歯車マークがあるのでそこをクリックすると、環境設定のダイアログボックスが出てきます。そのなかのキャプチャーというところに、「シーン自動検出」-「キャプチャー中にシーンを自動検出してから別ファイルに保存する」というオプションにチェックを入れます。

キャプチャーの設定

PlayMemoriesやVideoStudioではキャプチャーしたファイル名が撮影日時ではなく、そのキャプチャーした日時になってしまって残念でしたが、PowerDirectorではちゃんと撮影日時がファイル名になってくれます。これは有難いです。

ただし、VideoStudioと同様、一括取込みをしたファイルをシーン毎に分割した場合、分割されたビデオすべてを一括で保存する方法がないことです。ひとつひとつ手作業でやるしかありません。

PowerDirectorを使ってシーン分割で取り込んだファイルは、いくつかクセがあるようです。

まず、時間がほぼ0秒のシーンがシーン分割に入っていたりして、これは削除しないと、同じファイル名のものが存在してしまいます。

また、なぜか、テープの最後のシーンのファイルだけは、WindowsMediaPlayerで再生すると、再生できるのですが、末尾のところで「再生できません」とエラーが出ます。これを防ぐには、末尾の数フレームだけを削除する編集作業が必要となります。

Windows Media Player 再生エラー

また、この編集作業をして、DV.batを走らせるとなぜか「Recorded Dataを取得することができませんでした」と出てしまいます。VideoStudioで一括取り込みをしたものは大丈夫なのですが、PowerDirectorで分割取込みをしたものは必ず出てしまい対策がありません。ビデオ編集は不可解なことが多いです。。。

以下に機能別に比較表を作ってまとめてみました。
 
動画取込みアプリケーションの機能別比較表

どれも一長一短ですが、ソニーユーザーなら無料で使うことのできるPlayMemoriesHomeは動作も安定しているのでおすすめです。

6. 私のデジタルビデオカメラ(カムコーダー)購入履歴


ここからは、ビデオ取り込みには関係ないネタですが、私のデジタルビデオカメラ購入の変遷を記します。

最初に買ったデジタルビデオカメラはSharpのVL-NZ10というモデルでした。2002年2月にヨドバシカメラの新宿西口支店で10万円くらいで買いました。まだ価格.comとか普及していない時代だったので、家電製品といえばヨドバシカメラでした。

Sharp VL-NZ10

この製品は4:3のSD(720x480)画像しか撮れませんでした。また暗いところではカラーではなく白黒調になってしまうくらいのレベルの撮像素子(68万画素CCD)でした。

このビデオカムコーダーは2004年9月まで現役で使っていましたが、熱海の海岸で誤って水没させてしまい動かなくなってしまいました。

次に購入したのが、Sony DCR-PC350というハンディカムです。

Sony DCR-PC350

この機種から画質がぐっと良くなり、また4:3のSD画像の横を圧縮して16:9のSD画像を実現するいわゆるワイドモードを搭載していました(331万画素CCD)。世間のテレビの縦横比が16:9が主流になってきたことを反映していたのでしょう。

このビデオカムコーダーは2007年6月まで現役で使っていましたが、HDVの登場で買い替えることにし、ヤフオクで25,500円で売りました。

そして、3機種目は、HDV対応のHDR-HC3を購入しました。これはHDVという16:9のHD画像いわゆるハイビジョンが撮影できる画期的なハンディカムでした。

Sony HDR-HC3

HDR-HC3は次の世代のAVCHDのHDDモデルを購入する2012年2月まで5年近く長期間使っていました。そして、これがDVテープを使う最後のハンディカムでした。

ちなみにDV圧縮というのは、MotionJPEGで静止画が1秒間に5枚挿入されます。ビットレートは約25Mbps、720x360で30フレーム/秒です。テープ1本1時間の映像だと約13GBくらいの容量になります。

その後登場したHDVはMPEG2形式で、1秒間に2枚だけ挿入されます。ビットレートは同じく約25Mbpsで、1440x1080で30フレーム/秒です。音声はMPEG1 AudioLayerⅱでビットレート384kbps ステレオ2チャンネルです。

そして現在の主流であるAVCHDはH.264形式で、ビットレートは約23Mbps、画素数は1920x1080のフルハイビジョンで30フレーム/秒です。

ここらへんのことはこのサイトに詳しく説明がのっています。

そして現在使用しているのが3D映像もできるHDR-TD10というモデルです。このモデルではテープではなく、HDDに保存するようになっています。録画方式はフルハイビジョンのAVCHD2.0です。
HDR-TD10

これで無事にDVテープを撮影日時情報を残してHDDにバックアップすることができました。次はHDVテープからHDDにバックアップしたものから、ブルーレイディスクを作成する方法を紹介します。

(おわり)


DVムービーを動画編集してブルーレイディスクを作成

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