[統合デザインの卒展 2023] 多摩美術大学 上野毛キャンパスで開催中


今日は、多摩美術大学(上野毛キャンパス)で開催中の「統合デザインの卒展 2023」(2023年1月18日~22日)に行ってきました。


美大生ならではの斬新な発想から生まれた力作ばかりで刺激的、身近な文化イベントを満喫することができました。

1. 多摩美術大学

多摩美術大学 上野毛キャンパスは、東京都世田谷区池尻一丁目にある私立大学です。

1974年に八王子キャンパスに移転するまで、多摩美術大学(以下多摩美)のすべての授業がこの場所で行われていました。

現在のキャンパスは、八王子と上野毛の2キャンパスに分かれており、都心部から至近の上野毛キャンパスは、2014年4月に新設した美術学部統合デザイン学科と美術学部演劇舞踊デザイン学科の学生が学びます。


所在地 〒158-8558 東京都世田谷区上野毛3-15-34
公共交通機関 東急大井町線「上野毛駅」下車、環状8号線沿い(瀬田方面)に徒歩3分

上野毛キャンパスマップ(最新)

2023年1月18日(水)~22日(日)の5日間、統合デザイン学科の卒業作品の展覧会である「統合デザインの卒展」が開催されました。
「統合デザインの卒展 2023」が開催されることは、近所をジョギングしていたときに偶然発見。


普段使っているキャンパスを展示会場に衣替えして、大きな絵画から映像・体験型の作品まで、全卒業生139名の作品が展示されていました。

統合デザイン学科とは、平面・立体を横断した課題の制作を通じて、多様なアプローチを学べる新しいデザイン学科です。

2014年4月に新設され、2019年に第一期生が卒業、「統合デザインの卒展」はその2019年から毎年開催されています。

卒展の当日、多摩美には自宅から自転車で5分で到着


受付は南門


自転車置き場は突き当りです


コチラは北門


初めてキャンパスに入りました


なんと画材店の世界堂がキャンパス内に!


お菓子まで売っている


店内には画材道具や文房具が所狭しと


uniの鉛筆もすべて揃っています


Amazonよりも僅かに安い


そして、敷地の中庭には、昨年6月にオープンしたばかりの食堂棟(学食)が


こじんまりとしているが、とてもキレイ


営業時間:11:00~14:00
Rettyの投稿によると、この学食は学外者も利用できるとのこと、食堂に直接確認したらOKでした。


多摩美は、学食半額措置で、学生の経済的負担を軽くするために、食堂の料金を大学が負担しているそうです。


カレーライス310円、ラーメンは300円


ランチセットも380円と激安


Aセットを美味しくいただきました


学食ネタはこれくらいにして。。。

以下が今回の会場MAPです。


展示棟は、A(1号館)、B(2号館)、C(教室棟)、D(3号館)の4つの建物です。


キャンパスの建物はやや年期が入っていますが、アート系の学校らしい雰囲気ですね



「一部の作品を除き撮影可能」「SNSへの投稿も可能」ということで、以下に一部の作品を投稿します。

2. 統合デザインの卒展(A)

まずは、Aの展示棟に向かいます


展示室は地下1階から


ピンクを基調としたスイーツ系のお店


商品に良くマッチしたデザイン


統合デザイン学科という名が示すように、デジタル素材が多い


アニメキャラもオリジナル


「校舎のなか」これもデジタル描画


多種多様なピンクがギッシリと


次の展示室、またピンクが見える


毛並みを定期的に整えるそうです


光の万華鏡、これもデジタルディスプレイで動きを再現


ビー玉を集積した作品


東京の地図ダイアグラム(隆起した地形の組み合わせ)


都心部は結構隆起しているのが興味深い


お馴染みのモルフィング、物体が次々と変容する


多くの作品が、マックやスマホ、プロジェクターやディスプレイを駆使しており、まさに「統合デザイン」

扇風機で風車が廻って、その力でウチワが動くという、エネルギーの無駄?を表現した作品


どの作品も目の付け所が斬新だ

(写真にないが、ディスプレイに人影が映る)鑑賞される側の体験


光源と動作をシンクロさせる試み


中央の顔の合成は、自販機を使っているシーンだとか、なかなかシュール


いろいろな形状のモノを潰した状態で展示、特殊な工具や処理をしている


短距離走のスタートから疾走を切り刻む


ピカソ(キュビズム)の写真バージョン


自然のなかで己に向き合うというテーマ


ボディコンタクトが要求されるコミュニケーション(握手)が苦手な作者の表現


どの程度が「ちょうどいい」のか問題提起


ビールの泡も「ちょうどいい」のは。。。なかなか面白い発想


文(文字)と造作(形)のシナジー効果、これも面白い


奥の展示品は、精神疾病の苦しみをポップに表現したもの


紙に動きを与えて質感を表現


紙がゆっくりと動いている!


これでAは終了、ユニークな展示ばかりで飽きない

3. 演劇舞踏デザイン学科の卒業公演

展覧会を一旦中断して、上野毛キャンパスのもうひとつの学科である演劇舞踏デザイン学科の卒業公演を観ました。

場所はD(3号館)の103(ミニシアター)。


勅使河原三郎(世界的なダンサー・振付師)の指導の下、演劇舞踏コース舞踏ゼミの4人が、それぞれ15分のソロ作品(音楽に合わせたダンス)を発表しました。


こちらは事前予約制でしたが、運良く当日のキャンセル待ちで入ることができました。

観客は50人くらいでしょうか、大半は学生のようです。


真っ暗闇な舞台から、やがて浮かび上がるシルエット。。。音楽とともに激しい脈動感に満ちたダンスで自己表現。

音楽が静かになると、ダンサーの激しい息遣いが観客席にまで聞こえてきます。

美大にこのような演劇舞踏のコースがあるのは意外でしたが、身体そのものが芸術作品でした!

15分のソロ作品を無事に終えて4人揃って舞台挨拶。血の滲むようなトレーニングの賜物であるのは間違いないでしょう。


それぞれ個性的で脈動感に満ちた素晴らしい舞踏でした!👏👏👏

4. 統合デザインの卒展(D)

再び展覧会に戻ります。公演と同じD(3号館)を訪れました。


横方向に壮大な抽象画、目の前に立ってみると作品の迫力にしばし圧倒されました


普段使っているiPadなど小型のデバイスと対比して、広大なキャンバスに大道具を使って描いたそうです。


いろいろな物体の断面の抽出化


「キラキラヒカル。。。」言葉を紡ぐ印象的な作品


小動物のコロニー


微妙に動いている!


コチラは100℃の高温や100トンの重さで変形させたコレクション


奥は変形させたコレクションを拡大したもの


手足の写真とスキャナーの合成


どれも印象的な創作の数々


3階に上がります。外は夕焼け


職業の種類を可能な限り羅列してリストアップ、これはスゴイ労力だ。。。


描く対象の大きさに比例してキャンバスを選択、大海原は迫力ありました

5. 統合デザインの卒展(B)

次はB(2号館)です。


飴無いとナイトメア。。。シンメトリーな言葉も芸術作品にしてしまう


電車内の何気ない日常風景をスケッチ


このフロアは教室がすべて視聴覚ルーム


JBLの高級スピーカーが鎮座


動物を表現したライティングだそうです


巨人に憧れる少女のアニメーションを再現



未来の意外なテクノロジーや社会を風刺したポスター、斬新な視点だ


ポクセルだけを使った絵


さまざまな形態の鉛筆で「あ」を描いてみる。。。これも斬新な発想


消しゴムのさまざまな形態


既存概念を打ち破る傘のバリエーション


水滴を永続させる試み。。。なるほど


薄いだけのミラーに、厚みや重みを持たせる


これは秀逸な工業デザインでは?


金属のメタモルフォーゼ(変容)、硬いという既成概念を打ち破る!


鉄の定規もこの通り


これは斬新だ


膨大な花の種類に合わせた膨大なデザイン


これは記念紙幣かな?

6. 統合デザインの卒展(C)

いよいよ最後のC棟(教室棟)です

柔らかい感触からスタート


介護用ポータブルトイレ


そのまま商品化できそうなクオリティ


不動産物件の部屋のイメージ化


誰もが目標に向かって日々頑張っている。。。


彼氏短歌、どれも面白い


1年365日をそれぞれ絵で表現している。。。これは斬新なアイデア!


何の変哲もないパーツも集合体だと独創的に


死後輪廻ナウ、昭和だ 笑


これで139の作品すべて見ました(たぶん)

7. さいごに

展示品のクオリティの高さもさることながら、全体を通して印象的だったのは、イベントに来ていた学生さんたちの興味津々ぶりでした。

また、さすが美大だと思ったのは、事前告知の方法から会場のセッティング、デコレーションなど細部に渡って実にスタイリッシュで大学の文化祭レベルを凌駕していたことです。

多摩美大の卒展、来年以降も機会があれば是非訪れてみたいと思います。

関係者の皆さまにはこのような素晴らしいイベントを無料で開催していただき、心から感謝申し上げます。

そして、学生のみなさん、ご卒業おめでとうございます。

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