[ROUVY バーチャルサイクリング] 実写映像だけがウリではない ROUVYのデータ分析力

オンラインでのバーチャルサイクリングでは、ZWIFT(ズイフト)が圧倒的な人気を誇っていますが、ROUVY(ルービー)という、CG映像ではなく実写映像を使ったサービスがあります。


ROUVYは国内の利用者はまだまだ少ないようですが、ZWIFTのようなCGとは違う実写映像ならではの没頭感を楽しめます。

用意されているコースのなかで、オーストラリアのケアンズにあるゴールドコーストの美しい海岸線沿いを走るIRONMAN 5150 Cairns(40km)を体験走行してみました。

走行後にデータ分析機能を試してみると、ROUVYには実にさまざまな分析ツールが揃っており、ツールとしての完成度も高く、単なる実写映像をウリにしたバーチャルツーリングアプリではないことがわかりました。

1. ROUVYのセットアップ

ROUVY(ルービー、発音では「ロウビー」が近い)は本社がチェコ共和国のVimperkという場所にある会社が運営するサービスです。バーチャルトレーニングのソフトウェア開発が前身となって、2013年に設立されています。

ROUVY - How It Works

チェコは実はヨーロッパでも有数の自転車大国なんですね、知りませんでした。

ちなみに、チェコはIT技術開発力でも世界的に相当なレベルのようで、(国内未発売ですが)BeatSaber(ビートセイバー)というライトセーバーを振りかざして飛んでくる障害物をバッサバッサと切るゲームも、チェコのBeat Gamesが開発したVR対応の音楽ゲームです。

BeatSaber

国内では、ミノウラのトレーナーはROUVYと提携しているので、こちらの公式サイトでは唯一日本語化されたROUVYを垣間見ることができます。


滋賀県草津にあるストラーダバイシクルズ店舗でもROUVYと提携して販促しているようです。

しかし、日本ではズイフトのような知名度を獲得するには至っていません。

ROUVYは、Windows、iPhone、iPad、そしてandroidの4つプラットフォームに対応しています。私はWindows版を使ってみました。

パワメとの接続はANT+だけのようです。ANT+のUSBドングル経由で、パワメだけでなく最低限スピードセンサーだけでも利用することができます。

まず、ROUVYのホームページに行きます。


対応言語は英語のほかには、ドイツ語とチェコ語の3言語となっています。チェコ語がサポートされているのは本社がチェコだからです。

料金は月額$10(約1050円)ですが、14日間の無料期間中であれば、クレジットカードの登録も不要で無料体験することができます。

14日間は、登録してから14日後ではなく、実利用日の累計が14日間になるまで無料で使えるようです。

ROUVYには、従来のROUVY WORKOUTSと新しいROUVY ARという2つのアプリがあります。

ROUVY WORKOUTSは、従来バーチャルサイクリングと呼ばれていた長年にわたり利用されているプラットフォームで、ワークアウトのすべての機能をサポートしています。

ROUVY WORKOUTS

それに対して、ROUVY ARは、ROUVY Workoutsの後継アプリケーションで、HDよりさらに高品質な2K動画や、グループライド、レースもできる新しいプラットフォームです。

ROUVY AR

ROUVYはいずれROUVY Workoutsを引退させてROUVY AR一本に絞る計画のようですが、当面は2本立てで進めるようです。

今回のライドは、従来のWORKOUTSのほうを使いました。

目的のプラットフォーム用のアプリをダウンロードします。ホームページのメニューにあるdownloadを選ぶと以下のような画面となります。


アプリのダウンロードが完了したら、セットアップファイルをクリックしてインストールします。

アプリのインストールでは、K-Liteのビデオコーデックが一緒にインストールされます。


K-Liteのビデオコーデックは汎用的なアプリです。ほとんどの場合、Windowsの環境に影響を与えることはありませんが、ビデオ関係で特殊な設定をしているPCの場合は、何らかの影響を受ける可能性もあるのでその点は注意が必要です。

アプリのインストールが済んだら、ホームページの画面に戻ってサインアップ(登録)を行います。

登録が完了したらログインすると、パーソナルページが表示されるので、身長や体重など細かいプロフィール設定を行います。



FTP値は、実走時に頻繁に表示(現在FTPの何パーセントで走行しているか)されるので、FTPテストを事前に済ませるか、マニュアルでFTP値を入力しておくのが良いです。

デスクトップに作成されたアイコンをクリックして、インストールされたアプリを起動します。

アプリの初期画面で、下のメニューから「Select Trainer & Sonsors」を選んで、使用しているトレーナーもしくはセンサーと接続します。

初期設定

デバイスの接続が完了したら、あとは走るコースを選ぶだけです。

世界中の20000を超えるルートが登録されているのはさすがですね。


日本国内のツーリングコースも多く登録されています。右下のSearchから日本を選択すると、マップ表示されます。


リスト表示に切り替えると、各ルートの距離、平均勾配、最大勾配、オススメ度などが一覧表示されます。


国内だけでも100以上のルートが登録されています。

都心から近い尾根幹やヤビツ峠といった定番ルートもあります。メジャーな国内レース「乗鞍」「富士ヒル」もあるのでルートは非常に充実しています。

ユーザーが自分の動画をアップしてルート登録できるROUVYならではの拡張性ですね。


ブラウザだと、地図や標高差、タイムランキングなどさらに詳細な情報が表示されます。



実写映像データは、事前にダウンロードしてPCに保存しておけば、ネット回線で途切れることなく再生することもできます。

このあたりはAmazon Prime Videoなどのストリーミング映像配信と同じ使い勝手になっていますね。

2. 走行(IRONMAN 5150 Cairns)

ROUVYはトライアスロンのIRONMAN(アイアンマンコーポレーション)と提携しているので、実際のIRONMANレースコースを走ることができます。

IRONMANレースコース

今回は、日本人にも人気の高いオーストラリアのIRONMAN Cairns(ケアンズ)を走ることにしました。

IRONMAN 5150 Cairns

距離 40km
獲得標高 461m
平均勾配 1%
最大勾配 8%

ゴールドコーストの海岸線を走るので、素晴らしい景観を楽しめる人気コースです。

IRONMAN5150とあるのは、51.50kmのことで、IRONMANディスタンスではなく、通常のオリンピックディスタンス(スイム1.5km+バイク40km+ラン10km=51.50km)を意味しています。

また、IRONMAN70.3というのは、ミドルディスタンスのハーフアイアンマン(スイム1.2mile+バイク56mile+ラン13.1mile=70.3mile)のことを指しています。オリンピックディスタンスの2倍の距離です。

オリンピックディスタンスはkm表示なのにミドルはなぜかmile表示です(ロング140.6もマイル表示)。

ROUVYには、IRONMAN5150が9コース、IRONMAN70.3が4コース用意されています。ロング(いわゆるIRONMANレース)のバイク180kmコースはありません。

IRONMANの聖地であるハワイKonaの70.3コースは、つい先日の2020年7月に追加されたものです。


ちなみにIRONMAN5150 Cairnsのトップのライダーのタイムはなんと50分台!平均48km/h、5.28w/kgというとんでもない脚力の持ち主ですね。


このランキングは、使用機材やラップタイムまで詳細なデータが表示されるので、とても面白いです。

事前に実写ビデオをダウンロードしておきました。サイズは3.92GBでした。このダウンロードファイルは「ダウンロードサイトの管理」という項目でいつでも削除することができます(実際のファイルは「マイドキュメント」>「Rouvy」>「video」に保存されています)。

ROUVYで走る前にもう一つ準備しておきたいのが、Stravaなど外部アプリケーションとの連携です。

ライド終了すると自動的に外部アプリケーションにデータがアップロードされる仕組みです。

この設定は、「Setting」>「Cloud」(画面上のメニューから選択)にあります。


Strava連携だけでなく、TrainingPeaks, RunKeeper, Reliveなどさまざまなサービスと連携していますね。

ではいよいよスタートします。

画面中央のグリーンのボタン「Start Ride」をクリックし、右上の「Start Race」をクリックすると、全画面モードに切り替わります。


デフォルトの画面では、ズイフトと違い自分自身の姿は映りません。

デフォルトの画面

画面下部にあるのはパワーメーターではなく、全ルートの標高マップと現在位置です。全行程のどこを走っているかわからないズイフトと違ってこれはとてもわかりやすいですね。

ルートの途中にある黒い点は、ラップポイントになっています。

右上のビデオアイコンで画面切り替えができます。

マップビュー

操作画面ビュー

操作選択ビューは、iPhoneなどスマホでアプリを動かす場合には有効ですね。

ちなみにスマホアプリでのデフォルトのビューはこんな感じです。

スマホアプリの画面

アイコンが大きいので実写の映像の意味があまりなくなってしまいます。

ズイフトのコンパニオンアプリのようにスマホで連動して使う方法があればよいのですが、どうやらROUVYにはそのような使い方は想定されていないようです。

右上のメニューアイコンをクリックすると、選択モードになります。

選択モード

Exit Rideを選べばライドを中止することができます。

ROUVYの実写映像で走った第一印象ですが、なかなか没入感があってなかなか良いですね!


ズイフトとの違いとしては、良くも悪くも周囲にライダーが少ない(笑)、スピード感があまりない(ズイフトが現実離れしているとも言えます)、そして、音がないのがちょっと寂しいです。

実写映像は、おそらく自動車のダッシュボードから撮影されたもののようです。クオリティはまあまあといったところでしょうか。。。

コースはトライアスロンレース時のように交通封鎖はされていないので、普通に車両も走っていて、対向車線も普通に車とすれ違います。

気になったのが、ダウンロードした映像ファイルにも関わらず、コースの景観が大きく変化するときなど、映像が激しく乱れることです。

時によっては、数秒間、どこを走っているのかわからないほど画面遷移がカクついてしまうのは残念ですね。

PCの処理性能が映像表示に大きく影響するのではと思います。

また、走行道路の左前に、頻繁にバーチャルの標識(ほとんどが勾配表示)がポンポンと地面からいきなり生えてくるのですが、これはちょっとうるさ過ぎる(というか不要では??)のが気になります。

また、ROUVYのジャージを着たアバターがちょくちょく出てきます。スピードを上げれば追い抜けるのですが、気を抜いていると抜き返されます(笑)。

ラップ地点には、バーチャルのゲートが画面に現れます。


下はゴールドコーストの海岸線を走っているところですが、ここは実写版ならではの爽快感が堪能できました。


10km地点を通過。パワーやケイデンスは、ズイフトの感覚と変わらないので、データ計測は正確だと思います。


上り基調区間に入って、ちょっとペースを緩めると、アバターが出てきて追い抜かされます(笑)。アバターに負けてたまるかと踏み込みます。


このアバターは、Virtual Trainerだと思われますが、時々ビデオ画面のなかで挙動不審になります(画面に溶け込んだりする)。

スタートから1時間が経過。平均時速30km/h出せていません。。。


20km地点を通過。


途中で漕ぐのをやめると画面はオートストップになります。再び漕ぎ始めるとオートスタートします。


30km地点を通過。


左に周囲のライダーが表示されるのですが、ようやく3名が表示されました!


ラストのラップ地点を通過。


そして1時間18分でフィニッシュ。かなーり遅いです。


フィニッシュすると、継続するか、終了するか、極めてシンプルな選択画面になります。


ようやくゴールしても、花吹雪もおめでとうも何もないのは、ちょっと味気ない感じですね。

3. ROUVYの特徴

ROUVYはバーチャルサイクリングのアプリのなかでも、データ分析に関しては非常に緻密なメニューを持っています。

それは、ルートを走行したあとのデータ分析をしてみるとわかります。

IRONMAN5151Cairns走行データ

グラフチャートにマウスを持ってゆくと、走行中の任意のポイントでの実測値が瞬時に表示されます。

距離 40.0km
獲得標高 226m
時間 1時間24分56秒
平均 28.3km/h
平均パワー 163W
消費カロリー 831kJ

難易度 4(1-10レンジ)
TSS 70.6

前半はパワーも均等に出せていたのが、峠を越えた後半はバラついて非効率なのが一目瞭然です。

私のパワーメーターは左脚のみなので、ペダルバランスのデータはないのですが、ペダルバランスだけでなく、PS(Pedal Smoothness)や、TE(Torque Effectiveness)といったデータも算出してグラフ表示されています。

PSやTEのデータを見ても、後半に効率性が低下していることが一目でわかりました。

パワーゾーンについてもかなり詳細に分析してくれます。

IRONMAN5151Cairnsパワーゾーン

Peak Power (5s, 30s, 1min, 5min, 20min, 30min, 60min)だけでなく、Surge(3秒以上の突発的なパワー増加)といった聞き慣れない数値なども分析表示されていて驚きます。

私のデータを見ると4-6W/kgのサージが15回も発生していることがわかります。明らかに効率の悪い走り方ですね。。。

また、週、月、年ベースそれぞれのデータの統計も確認することができます。

統計データ

走行データはTCX形式でエクスポートすることも可能です。

このように、データ分析に関しては、ROUVYはZwiftやStravaといった他のサービスを凌駕しているのでは。。。というか、そもそもの設計コンセプトが全く違うことがわかりました。

私はパフォーマンスを分析してレベルアップを目指しているわけではないので詳しくはわからないのですが、おそらく、ROUVYはかなり真剣に自転車競技向けにパフォーマンス向上を目指すトレーニング向けに開発されたものではないでしょうか。

Zwiftの強みは、多くの会員が参加しているプラットフォームの強さであり、それはレースやグループライドといったイベントにおいて最も効果的だと思います。

実写映像でのライディングというのは、たまたまROUVYの実装機能として備わっているだけで、アプリの本来の目的は実走データ分析によるパフォーマンス向上です。

ROUVY使い始めたばかりなので、もう少し使い込んでからZwiftとの比較を詳しくレビューしたいと思います。

(2020/08/10追記)

つい先日のNHKのTV番組チャリダーでも紹介されていましたね。

NHK「チャリダー」より

偶然ですが、ジアウ峠がハイライトされていました。

ROUVYの紹介

(2020/08/16追記)

ROUVY ARでバーチャルレースに参加しようとしたのですが、残念なことにレース参加はスマートトレーナーが必須のようです。


レース登録はできました。以下はスタートリストです。


が、スタートしようとすると
This online race is restricted to smart trainers.
というエラーメッセージが出てきてしまいます。


バーチャルレースの見学は可能。


うーんパワメでは参加できないのはとても残念です。

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