MPD音楽再生ソフトVolumioがバージョンアップで大幅進化!Volumio2をCubox-i1で試してみる

MPD音楽再生ソフトのVolumioがVersion 2にアップグレードされていました。

アルバムアート(ジャケ写)表示に対応するなど、画面のユーザーインターフェースが大幅に機能強化されたということで、早速Cubox-i1にインストールしてみました。

Volumio2

Volumioとは、デジタルオーディオ再生における様々な音楽ファイルを再生する機能に特化したLinuxベースのOSです。

Raspberry PiやCuBox、BeagleBoneなど幅広いプラットフォームをサポートしており、拙宅でもこれまでVolumio 1.55をCubox-i1にインストールしたものを長年メインシステムで愛用しています。

Volumio2は、2016年秋にリリースされました。ギャップレス再生やアルバム単位の再生に対応したものの、その後Cuboxの公式サポートは打ち切られてしまいました。

幸いなことに、CuBox向けのビルドはユーザーコミュニティが引き継ぐ形で開発が進んでいます。最新版はarmbianというUbuntu/DebianベースのOSになっているようです。

1. Volumio2の入手とインストール


Volumio2はRaspberry Pi向けの開発が中心なので、Cubox向けのVolumio2はオフィシャルページからはダウンロードできません。


Cubox向けVolumio 2の最新版(Volumio-2.532-2019-01-18-cuboxi (kernel 4.14.90-cubox, armbian) は、2019年1月18日のビルドです。Volumioのサイトのフォーラムからダウンロード入手できます(ダウンロードURLはこちらです)。

ダウンロードしたzipファイルを解凍すると、2.8GBほどのimgファイルになります。Volumio 1.55のimgファイルは1.5GBほどだったので、サイズが2倍になったことになります。

imgファイルをWin32DiskImagerという無料ソフトを使ってマイクロSDカード(2GB以上が必要)に書き込みます。待つこと10分程でVolumioが書き込まれたマイクロSDカードが出来上がります。

Win32DiskImagerでmicroSDに書き込み

書込みが完了したマイクロSDカードを、CuBox-i1のスロットに挿入して、あとは電源コード、LANケーブル、そしてUSBDACと接続するUSBケーブルを繋げます。

Cubox-i1にケーブルを接続

Volumio2では、通電状態を示す正面の赤いランプは消灯状態がデフォルトに変更になりました。

あとは、同じネットワーク環境にあるPCやスマホのブラウザから、

http://volumio.local/

と指定すると、初期画面が現れます。

Volumio2を起動した初期画面

昔のように、SSH画面でいろいろとLinuxのコマンドを実行するような手間はなく、拍子抜けするほど簡単に繋がってしまいます。

言語には日本語も選択できます。Nextボタンを押して、Volumioにつける名前を入力します(デフォルトのvolumioのままでも構いません)。

Volumioにつける名前を入力

名前は自由に変えられますが、その名前がURLアドレスとなることに注意です。上のケースでは、volumioのURLアドレスは、

http://volumio.local

ではなく、

http://Volumio2 for Cubox-i1.local

となるので注意が必要です。
(これを忘れてVolumioを再起動してしまうと、http://volumio.localでは繋がらなくなってしまいます)。

Nextボタンで次に進むと、オーディオ出力の選択になります。

オーディオ出力の選択

上の例では、通常接続しているUSBDACのモデル名(UDAC32RD)を選択しています。

次のNetworkの構成では、何も選択メニューが出てこないので、気にせず次に進みます。

Networkの構成

Musicの設定では、音楽ファイルの保存場所を指定します。「新規のドライブを追加」を押すと、「ネットワークドライブのスキャン中」と表示されます。

音楽ファイルの保存場所の設定

しかし、数秒後に「ネットワークドライブが見つかりません」と出てしまい、ドライブを検出してくれません。

「ネットワークドライブが見つかりません」のエラー

こちらのサイトによると、接続できない原因は「Volumio 2のSMB(Server Message Block)の標準設定がSMB3になったこと」だそうです。

この問題は、「拡張オプションの表示」ボタンを押して、オプションに「vers=1.0」と記入することで解決します。このネットワークドライブには「SMB Version1」で接続するように明記するわけです(「Raspberry Pi+Volumio 2でネットワークドライブに繋がらない場合の対処方法」を参照)

ちなみに、拙宅のNASはLS-XLというバッファローの旧モデルなのですが、最新ファームウェアを入れていて、そのファームウェアを調べたところ、SMB ver 3.6.3-1、つまりSMB3なのですが、オプション「vers=1.0」にしないと見つけてくれませんでした。なぜでしょうか。。。

NAS

自動でネットワークドライブを見つけてくれると、以下のようなリストが表示されます。

ネットワークドライブの表示

何らかの原因で自動でネットワークドライブを見つけてくれない場合は、以下のようにNASの固定IPアドレスを直接入力する必要があります。

エイリアス:任意の名前

NAS IP アドレス:固定IPアドレス(192.168.xxx.xxxなど)を入力

パス:音楽ファイルのフォルダパスを指定します(share\Musicなど)。パスの指定には、日本語キーボードでは、「/」ではなく「¥」を使います。

ユーザー名とパスワードは、NASのアクセス制限をしている場合にはadmin/passwordなど指定します。

以上を入力したら、下の「保存」ボタンを押すと、無事に新規のドライブ(ここではネットワークドライブ)のマウントが完了し、指定フォルダの音楽ファイルのスキャンが開始します。

ネットワークドライブ(NAS)のマウントが完了

Nextを押すと、Congratulationsと表示されます。Donationの選択画面が出てきて、これでVolumioの初期設定が完了します。

Donationの選択画面

DONEボタンを押すと、初期設定が完了してデフォルトの再生画面となります。

スタート画面

画面の中央がアルバムアートワークが表示されるエリアとして新規に追加されたものです。左に再生状況、右に音量状況というのは以前と同じです。

画面の背景は、設定時にランダムに選ばれるようですが、いつでも画面の右上の設定アイコンから変更可能です。

画面の背景の選択

以下はVolumio2の基本操作です。

画面下部のタスクバーは、「一覧表示」「プレイバック」「キュー」という3つのカテゴリに分かれています。

「一覧表示」を選択すると、「プレイリスト」「アーチスト」「アルバム」「ジャンル」など選択画面が表示されます。

一覧表示

「アルバム」を選択すると、音楽ライブラリのアルバムアートの一覧が表示されます。

旧バージョンのVolumioではサポートされなかったアルバムアートが見事に表示されるようになりました!

アルバムアートは、アルバム単位の音楽ファイルと同じフォルダに、folder.jpgというファイル名で保存しておくと表示されます(サイズは自由)。

アルバムアートの一覧表示

一覧表示から特定のアルバムを選択して、再生ボタンを押すと、音楽再生が始まります。

アルバムを選択

再生(プレイバック)画面

楽曲名、アルバム名、アーティスト名、楽曲の長さ、再生経過時間、flac,wavなどファイルの種類、44.1kHz|16bitなどサンプリング周波数と量子化ビット数、再生音量など表示される情報は豊富でユーザーインターフェースとしては完璧なものとなりました。

ハイレゾ楽曲などは、96kHz|24bitなどとしっかり表示されるので、ダウンサンプリングなどされずにネイティブ再生されていることが確認できるので、精神衛生上?も安心です。

以下の旧バージョンのVolumio 1.55のアルバムアートが表示されない再生(プレイバック)画面と比較すると、劇的な進化が一目瞭然ですね!

旧バージョン(Volumio 1.55)の操作画面

以上が基本の設定と操作でした。

2. オプション設定


[DSD再生]

DSDファイルの再生は、「プレイバックオプション」の「DSD Playback Mode」をUSB DACに合わせて設定します(UDAC32RDはDSD over PCM(DoP)モードにします)。

DSD再生の設定画面

DSD再生時には、左側の円の内部に2.82MHz|1bitの表示と、DSDのロゴマークが表示されます。


DSD再生画面

[音量調整]

PC/タブレットやスマホなど再生クライアント側で音量調整ができるようにするためには、「プレイバックオプション」の「音量オプション」の「Mixer Type」を「Hardware」から「Software」に変更します。

音量オプション設定

「Hardware」では、「Software」と比較してクライアントソフトウェアでのミキサーが介在しないため、音質的には有利となります。これは、WindowsでのカーネルミキサーをバイパスするWASAPIの仕組みと同じ原理です。どうしても(出力アンプでの音量調整に加えて)再生クライアント側でも音量調整をしたい場合は、[「Software」設定が良いと思います(ただし、DSDファイルのDoPモードは音量調整はできません)。

「MPD Client Control」の設定もありますが。Onにしても、拙宅の環境では、MPaDの音量コントロールを有効にできませんでした。


[Spotify再生]


Spotifyプラグインをインストールすることによって、Spotifyの楽曲を再生することができます(事前にSpotifyのプレミアムアカウント契約が必要)。

Spotifyプラグインのインストール

インストールには数分かかりますが、完了すると、インストール済みのプラグインにSpotifyが登録されます。

SpotifyへのログインなどConfiguration画面を出すのは、日本語環境だと「設定」ボタンが隠れてしまっており非常にわかりにくいです。

下の画面の「インストール済みのプラグイン」の画面で、「アンインストール」と表示されている左側の狭いグリーンのエリアをクリックします。

アンインストールの左のグリーンをクリック

すると、Spotify Configuration画面になり、ログインIDやパスワードを入力できます。


Authorizeをすると、Spotifyから音楽を選択することができるようになります。

Spotify再生画面

左の再生モードに、Spotifyのフォーマットである320kbps/16bitがしっかりと表示されています。

SpotifyのプレイリストはVolumioでは表示されないので、iPhoneで聴いている環境と比較すると少々不便です。

[マルチチャンネル再生]


ステレオ再生に加えて、5.1chなどのマルチチャンネル再生が可能かどうか確かめてみました。

マルチチャンネル再生は以前のVolumio ver.1.55でも可能でしたが、ソースがPCMに限定され、DSDのマルチチャンネルファイル(DSF/DFF)は強制的にPCM変換されて、音切れも激しく実用的ではありませんでした。Volumio 1.55のマルチチャンネルについては以前記事に書きました。

Cubox-iとVolumioでマルチチャンネルのハイレゾFLAC/DSD再生

Volumio2にバージョンアップしたことで、果たして、Volumio 1.55ではサポートされなかったDSDマルチチャンネルファイルのネイティブ再生が可能かどうか、試してみることにしました。

マルチチャンネル再生をサポートするUSBDAC製品は、OPPOのUDP-205(20万円)かexaSoundのe28(50万円)のハイエンド2モデルしかなく、どちらも生産完了ということで簡単に入手できません(Mytek社の8x192 ADDAも対応していますが、USBDACの出力が通常のアナログマルチではないので複雑な機器構成が必要です)。

そこで、今回も以前と同じように、インタフェースをUSBからHDMIに変更して、DSDのネイティブ再生をサポートしているAVアンプ(マランツのAV-8801)に接続した環境で試してみました。

CuboxをAV8801とHDMI接続

はじめに、PCMソースのほうは、問題なく再生することができました。

96/24 FLAC マルチチャンネル再生の画面

ただし、時々リアが出なかったり、チャネルマッピングが間違った状態になるので、そのときは、一旦停止して再度再生すると元に戻ることが多いようです。原因は不明です。

細かい点ですが、Volumio 1.55では表示されていたmulch channel表示はされず、シンプルに96kHz|24bitと表示されるだけです。

DSD(DSF/DFF)ファイルについては、残念ながらver1.55と同様、PCM192kHzへの変換で再生されるものの、DSDネイティブ再生はNGでした。

また、DFFファイルはマルチチャンネルであってもステレオであっても、音楽ソースとして認識されず、ライブラリ画面にさえ表示されません。うーん、残念。。。

DSDのマルチチャンネルファイルのネイティブ再生は、引き続きOPPO BDP-103/105に任せることにしました。

[リモコン操作]

Spotifyプラグインをインストールすることによって、再生/一時停止/早送りなどを(MPDクライアントではなく)赤外線リモコンで操作できるようになります。

IR Remote Controlプラグインのインストール

プラグインの「IR Remote Control」を選んで、インストールを押すと自動的にダウンロードとインストールが開始されます。

リモコンのリスト

サポートされているリモコンの種類は、Appleのリモコンをはじめ、多種あります。

プラグイン一覧

プラグインをインストール後に、プラグイン管理の画面から、IR Remote Controllerの設定ボタンを押して、該当するリモコンの種類を決定します。

CuBox-i1には赤外線受光器が付いているので、何らかの組み合わせでリモコンを使えると思うのですが、AppleTV用のリモコンやWindows Media Center用のリモコンなど試しましたが、残念ながらリモコンでの操作ができるような設定ができていません。

リモコンで簡単な操作ができれば、スマホやタブレットを使わなくても良いので操作性は劇的にアップします。特に、手元でリモコン操作であればボタンの形状だけで(目で確認せず)操作できるので非常に便利だと思います。

Cubox-i1でVolumio2のリモコン設定をするのに参考になるサイトは、検索しても出てこないので、しばらく試行錯誤を続けようと思います。

[SSHでのコマンド操作]

volumioでは、すべての設定がWebブラウザ―から可能となりました。何らかの理由でPuTTYなどのSSHから直接ログインする必要がある場合は、以前と仕様が変わっているので注意が必要です。

まず、デフォルト設定ではSSH接続そのものができないので、

http://volumio.local/DEV

にアクセスして,ssh を ENABLE にする必要があります。

また、ログイン名、パスワードがともにvolumioに変更されています(旧バージョンはログインがroot、パスワードがvolumioでした)。

[Volumioの複数稼働]

volumioを2台以上のデバイスにインストールして、同じネットワーク環境で使ってみました。画面の下部にそれぞれのタブが表示され、切替えできるようになります。

Volumioの2台稼働画面

何気にこの設定は便利ですね。ちなみに、2台以上稼働にすると、メニューにMy Volumioにログインという選択が追加されます(下の写真の右上の部分)。登録すると、My Volumioにログイン状態になります。

My Volumioに登録・ログイン


My Volumioは有料プランのようですが、リモートコネクション機能(具体的には何か不明)や、OobuzやTIDALといった音楽サービスのネイティブサポート機能などが提供されるようです。

My Volumioの有料プラン

3. MPDクライアント


旧バージョンのVolumio 1.55は音質的には不足はなかったのですが、PC/タブレットでのウェブ操作画面はアルバムアートが表示できないことが大きな不満でした。

そのため、これまで操作はタブレット端末(iPad)にMPDクライアントのMPaDを(iPhoneにはMPoDを)インストールして使っていました。

ところが、iPadが2017年リリースのiOS11から32ビットアプリのサポートを終了してしまったのに伴い、32ビットアプリしかリリースしていないMPaD/MPoDがiOS11以降は使えなくなってしまったのです。

iPadのMPaDアプリ

iPadも世代交代して、第6世代のiPadではiOS11.3が初期搭載されているため、もはやMPaDをインストールできず、困っていました。

今回Volumio2にアップグレードすることにより、MPadを使う必要もなくなり、PC/タブレットやスマートフォンなどWebブラウザーが使えればどの端末からでも自由に操作できるようになり非常に便利になりました。

しかも、MPaD/MPoDでアルバムアート表示するためには、SSHでvolumioにログインして、

ln -s /var/lib/mpd/music /var/www/covers

というコマンドを実行してリンクを作る必要がありましたが、Volumio2ではSSHを使う必要さえありません。

Volumio2で再生クライアントの選択肢も増えました。

4. Cubox-i1


今回volumio2をインストールしたのは、イスラエルにあるSolidRun社のCubox-i1というキューブ型の超小型コンピュータです。写真の10円玉と比較するとその極小さがわかりますね。

Cubox-i1

購入したのは2014年3月なので、もう5年以上前のモデルですが、未だに現役で販売されています(当時の購入価格は$54.99でしたが、現在は$80.00に値上がりしています)。


Cubox-i1についても以前ブログに記事にしました。

CuBox-i1が到着しました!

i.MX6 Soloという旧フリースケール社(現NXP社)のCPUを搭載しており、動作周波数は1GHz、メモリは512MBですが、ハイレゾ音源再生には十分過ぎるほどのスペックです。

CuBoxは5V/2A駆動です。駆動時の消費電力は1.5Wと通常のネットワークプレーヤーの40Wと比較すると桁違いに微量なので、常時電源を入れて駆動できます。音楽を聴きたいときにいつでもすぐに聴けるのは非常に便利ですね。

Volumioで24時間音楽を再生してみましたが、CuBox-i1はほとんど熱を発生しませんでした。CuBoxはファンレスで駆動部がゼロなので、もちろん完全静音です。

CobuxのようなLinuxベースのPCオーディオの設定の簡易さは、Volumio2の登場で、ついにWindowsやMacを追い越してしまった感があります。

5. オーディオ機器としての音質


Volumio2で再生するサウンドの特徴は、一言で表現すると「原音に限りなく忠実な再生」と「透明感」です。

CuBoxをはじめとするPCオーディオのポテンシャル(とそれを最大限に引き出すための設定の難しさ)は、これまでも語り尽くされていますが、Volumio2の登場で、設定の利便性が更に高まり、デフォルトの設定のままで細かいチューニングを施さなくても、ほとんど完成された音質が得られるようになりました。

かつてのハイエンドオーディオのグレードが、1万円もしない超小型コンピュータと無料ソフトウェアで、面倒な設定なしでこうも実現できてしまうとは、凄い世の中になったものです。。。

あとは、リモコンの設定が成功すれば、理想のシステムにまた一歩近づくのですが。。。

ということで、今後も引き続き拙宅のオーディオシステムは、Volumio/Cuboxのセットがメインで稼働することになりそうです。

[Volumio Spotify Connectの衝撃] Spotifyを最高音質で聴くためには

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