[中華製デジタルアンプ3機種を比較試聴] Lepaiの神アンプ(LP-2020A+) と類似品はどこが違うのか

LepaiのLP-2020A+は、たったの3000円程度にも関わらず、ハイエンドオーディオにも匹敵する音と評判だった中国製の小型デジタルアンプです。

Lepaiはその後ブランド名をLEPYに変更したのですが、後継機も含めてオリジナルLP-2020A+の類似品が同時に大量供給されており、なかには正規品と見分けがつかない精巧な偽物も出回っています。

今回は、Lepai正規品と、類似品2機種(LEPYのLP-2020A+とLEPYのLP-2020A)を徹底比較してみました。


1. 正規品 - LepaiのLP-2020A+

LepaiのLP-2020A+は、Bukang Technology社(中国広東省掲陽市)がLepaiのブランド名で2012年頃に発売したD級デジタルアンプです。Tripath TA2020 というオーディオデジタルアンプ用のチップを搭載していることで話題になりました。

このモデルは数年前に生産終了しており、市場に出回っている中古品は現在何倍ものプレミア価格がついています。


手元にある正規品は、2012年にアマゾンから2,580円で購入したものです。

電圧・消費電流 DC10-14.4V 2A
定格出力 20Wx2 RMS
スピーカーインピーダンス 4~8Ω
周波数応答 20Hz~20kHz
全高調波歪 <0.4%
信号雑音比 >80dB

パッケージデザイン

付属品は、簡単な取り扱い説明書と、ACアダプター(12V/5A)です。

ACアダプター

本体を分解するにはケースの11か所のネジを外します(プラスのネジ)。

回路基板は、中央に大きなヒートシンクが積んであります。

回路基板
チップは Tripath製のTA2020です。

チップ

オペアンプは、JRC 4558Dです。

オペアンプ

コンデンサは大容量の3300μFです。

コンデンサ

LepaiのLP-2020A+の音の素晴らしさについては以前に記事を書きました。

[LepaiのLP-2020A+デジタルアンプとRasPiのI²S接続] は本当に神オーディオだった

2. 類似品#1 - Lepai(内部基盤はLEPY)のLP-2020A+

こちらの類似品は、外観はLepaiのLP-2020A+と同一ですが、内部回路基板だけがLEPY製の製品です。

LepaiがLEPYの商標を登録したのが2014年なので、この製品は2014年以降の製造ということになります。

2020年にアマゾンに出店しているショップ(マルベル)から中古品で3,780円で購入したものです。

電圧・消費電流 DC10-14.4V 2A
定格出力 20Wx2 RMS
スピーカーインピーダンス 4~8Ω
周波数応答 20Hz~20kHz
全高調波歪 <0.4%
信号雑音比 >80dB

中古品で購入したので、パッケージは付属していませんでした。ACアダプターはドウシシャ製のトランス方式のもの(1.2V/1A)が付属してきました。

ACアダプター

分解するにはケースの11か所のネジを外します(トルクスのT8(星型)のネジ)。

回路基板

チップは Tripath製のTA2020です。

チップ
 オペアンプは、JRC 4558Dです。

オペアンプ

チップとオペアンプは正規品と同じですが、コンデンサやその他細かい回路部品は正規品とは異なります。

コンデンサは小容量の2200μFです。

コンデンサ

正規品との比較は前回のブログ記事で紹介しました。

[Lepaiの神アンプ LP-2020A+] 類似品に注意!Lepaiの正規品はLEPYとここが違う

3. 類似品#2 - LEPYのLP-2020A

こちらはLEPYブランドで販売されていたLP-2020Aです。+(プラス)が付いていないモデルです。

2020年にアマゾンから1,300円で購入したものです。

電圧・消費電流 DC12-13.5V >3A
定格出力 20Wx2 RMS
スピーカーインピーダンス 4~8Ω
周波数応答 20Hz~20kHz
全高調波歪 <0.4%
信号雑音比 >80dB

LEPYはLepaiの新しいブランド名です(中国でLepaiが登録商品として既に存在していたので、米国向けにLEPYに変えたそうです)。

パッケージデザイン

付属品は、簡単な取り扱い説明書と、ACアダプター(13.5V/3A)です。

付属品

ACアダプター

分解するにはケースの11か所のネジを外します(トルクスのT7(星型)のネジ)。こちらはT8ではなくT7と一回り大きいサイズになります。

回路基板は赤から青に変更になっています。

回路基板

チップは Tripath製のTA2020から、Lepy製のLP-2020-Aというチップに変更になっています。外観はTripath製のTA2020と非常に似ています。ヒートシンクは付いていません。

チップ

オペアンプは、Lepaiの正規品と同じJRC 4558Dです。

オペアンプ

チップはヒートシンクがないLepyマークのものに変わっています。オペアンプは正規品と同じですが、コンデンサやその他細かい回路部品は正規品とは異なります。

コンデンサは小容量の2200μFです。

コンデンサ

4.Lepai/LEPYのデジタルアンプ変遷

4.1 Lepai/LP-2020A+

第1世代:2012年~、Tripath製のTA2020チップ搭載、販売終了

4.2 LEPY/LP-2020A

第2世代:2014年~、LEPY製?のチップ搭載、販売終了

4.3 LEPY/LP-V3S

第3世代:2015年~、POWER IC TA8254チップ搭載(アナログアンプ)

4.4 LEPY/LP-2024A+

第4世代(現行品):2015年~、Tripath製のTA2024(もしくはA2008)チップ搭載

今回の比較試聴製品は、正規品が4.1の第1世代品、類似品#1が過渡期の第1.5世代品、類似品#2が4.2の第2世代品となります。

Bukang Technology社の製品はこちらのサイトが詳しいです。

5. 比較試聴

3機種を以下のサブシステムで比較試聴してみました。

スピーカーはモニターオーディオのブックシェルフBronze1、Raspberrry Pi2 + DACのI²S接続のセットをLAN接続してNASの音源をアナログ出力しています(再生ソフトウェアはVolumio2)。


アンプ切替のため、針プラグのスピーカーケーブル(完成品)を入手しました。針プラグなら、アンプの差し替えがとてもラクです。

HONKENT バナナプラグ付スピーカーケーブル

針プラグ

製品との接続



ACアダプターは、正規品に付属していた12V/5Aのスイッチング電源を使用しています。電源はごく普通の家庭用コンセントに繋いでおり、特にノイズフィルターや直流安定化電源などは使用していません。

右から正規品、類似品#1、類似品#2



サブシステム全体はこんな感じです。


音源はハイレゾ音源(96kHz/24bit)とCD音源(FLAC 44.1kHz/16bit)です。

まずは定番のArt Pepperから。

Art Pepper (192kHz/24bit)

音源はDVD-Audio(192kHz/24bit)なのですが、CDやSACD、ハイレゾ配信の音源とマスタリングが違い、右チャネル(リズム)と左チャネル(サクソフォーン)で楽器が分かれているのが特徴です。

正規品は、左右のセパレーションがクリアで、かつ音像が中央にピタッと定位して非常にクリアです。

類似品#1と類似品#2も悪くないのですが、正規品のクリアな音像と比べると今一つ明瞭さに欠けます。

次にEaglesの名曲Hotel California
こちらも音源はDVD-Audio(192kHz/24bit)です。

The Eagles (192kHz/24bit)

正規品と類似品の差はそれほど認められません。どちらも明瞭で良い音で鳴ります。

次はクラシックから、サロネン/ロスフィルの「春の祭典」
グラモフォンの優秀録音盤です。

Essa Pekka Salonen (44.1kHz/16bit)

大音量で響き渡る「生贄への賛美」のティンパニ11連打からの、シビアな再生環境を求めるシーンは、正規品も類似品も出力がクリップしてしまいました。さすがに3000円のアンプの限界でしょうか。。

最後に、Spotifyの320kbpsの音源で、Biberのチェンバロソナタ

Biber Sonata(320kbps/16bit)

これを聴くと、ストリーミング音源もバカにできないと痛感します。それほど素晴らしい音質です。

正規品は低域の芯も太く、透き通ったクリアな原音、怖ろしいほど高い再現性。。。これぞまさに音楽を聴く悦びに浸れる音です。

一方、類似品の音は、どうしても「音楽を聴く悦びに浸れる」音ではありません。

正規品と類似品の差が最も顕著に表れるのは、実は、ストリーミング再生ではないかと思います。。。

また、3機種を比較試聴してわかったのですが、ボリュームのゲインが、正規品では中央でかなりの音量になるのですが、類似品2機種では、中央では小音量でした。

電源オンのときの「ボッ」というクリップ音は、正規品が一番大きいようです。

6. まとめ

Lepaiの正規品LP-2020A+は、「神アンプ」と呼ばれているほど、そのコストパフォーマンスは驚異的です。

しかし、今回3機種を比較試聴した結果、類似品2機種も、かなりいい線を行っているという印象でした。

チップやオペアンプは同じなのに、正規品が最も「音楽を聴く悦びに浸れる」音なのか、その理由は、コンデンサなど回路を構成しているパーツにあるのかもしれません。

LEPYの小型デジタルアンプシリーズは、いろいろと改造して音質を追求するマニアも多いので、私も次は電気回路を勉強して、改造に挑戦してみようかと思います。

コメント

  1. その後、調子はいかがですか?だいぶんサイトも見やすくなったように思います。私もその後、モニオさんに倣って、アドセンス審査出してみました。
    やはり、記事数の多いサイトは審査通過は大変で、今、16回目です。
    youtubeも、少しは板についてきました。そのうち、コラボとかもいかがですか?

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    1. 百十番さんこんにちは、ブログ訪問多謝です!
      アドセンスは審査が厳しくなったのでしょうかね、一日も早い通過を祈念しております。
      私はYouTubeが敷居が高そうで放置状態。。。何とかしなければですね(笑)
      今後ともよろしくお願いいたします。

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