北海道とかちの穴場スポット ふるさと歴史館「ねんりん」が凄すぎる!

夏休みに家族で北海道(十勝・帯広)に行ってきました。前半はあいにくの天気で屋内中心の観光だったのですが、たまたま訪れた「ふるさと歴史館ねんりん」があまりにも面白かったので、ここで紹介します。

ふるさと歴史館ねんりん(以下「ねんりん」)は、芽室町の中心から10kmほど離れた周辺にはこれといった観光地もない農村地域にあります。帯広の市街からは車で西に30分ほどです。芽室町の開町100年を記念して1999年に作られた、貴重な文化遺産を保存・公開している施設です(ホームページはこちら)。

ふるさと歴史館ねんりん

私たちがここを訪れたのは、8月16日の雨の日に「明治なるほどファクトリー十勝」という明治乳業の工場見学を終えて、地図を見ながら次はどこへ行こうかと考えていたときに、たまたま「ねんりん」という施設が近くにあったからでした。

「ねんりん」の地図

カーナビを頼りに向かったものの、はじめは場所がわからず、通り過ごしてしまったほど目立たない場所にあります。

赤い建物の左奥が「ねんりん」

お盆休みの真っ只中にも関わらず、駐車場にはたった1台の車しか止まっていませんでした。周囲には人の気配もまるでなく、廃校と思われる小学校の建物を通り過ぎてやっと施設の入り口を見つけることができました。

入り口

開館時間、休館日など

入場は無料。恐る恐る入ってみると。。。そこは外観からは想像もつかないほど広大な空間に、開拓時代の道具や民具が整然と展示されている世界でした。館内には生活に密着した道具や民具などが多く展示されているほか、工房での体験やイベントも多く企画されているようです。

館内に入ると驚きの世界が

館内奥からの様子

この施設では、道具や農具を見るだけでなく、実際に触って体験することができるのです。これが楽しい!

まずはこちらの石臼体験コーナー。実際の石臼を回して小麦を粉砕してそば粉にする体験ができます。

石臼体験コーナー

受付のスタッフさんが丁寧に説明してくれました

受付の女性のスタッフさんが、懇切丁寧に説明をしてくださったのですが、その説明が非常にわかりやすく、なおかつ知識も豊富なのです。

実際に回しているところ

実際に回してみると、ゴリゴリという感触とともに、臼の継ぎ目から粉状になったそば粉が出てきます。小さい臼でも子供の力で精いっぱい回す必要があります。

次に、 唐箕 (とうみ)という農具を体験してみました。 唐箕とは、臼などで籾殻をはずしたあと、風力を起して穀物を籾殻・玄米・塵などに選別するための農具のことです。

唐箕

上部の開口部から豆と籾殻の混ざった穀物を投入しながら、右側の円筒状のものをハンドルで回すと、風力で選別された状態で下の出口から豆と籾殻それぞれ分離されて出てくるというものです。

使い方を教えてもらっています

実際にやってみると、確かに豆と籾殻が分離して出てきますが、回す案配が結構難しいです。大きな機械の割には効率は今一つという印象です。

農具は一部の部材以外は再現したものですが、ちゃんと機能するところがスゴイです。昔の人の農具に対するいろいろなアイデアが実感できて興味深いです。

下の農具は、手押し豆撒き機です。いろいろなタイプがありますが、どれも実際に体験ができます。カラーボールの入ったものは、肩に担いで、種や肥料を撒くために作られたものだそうです。随所にいろいろ工夫がされています。

手押し豆撒き機

試しに手押し豆撒きに豆を入れてゴロゴロと押し進めると、豆が一定量でコロコロと出てきました。これは腰をかがめて作業することなく便利です。

手押し豆撒き機を実際に体験

他にも「撒く」作業に使われた農具がいろいろ展示されています。「撒く」ときに腰をかがめることなく作業効率を上げるためにいろいろな工夫がされていることがわかります。

撒くための農具

種籾を水田に撒く道具として、下のような一見仰々しい造りのものもありました。ネットで調べてみると、このようなタコ足の直播器は明治38年東旭川の屯田兵が考案したものだそうです。

蛸足式直播器

左手の遊具コーナー横には、背負子(せおいご)が展示してありますが、これは実際に背負ってその重さを体験できるようになっています。

背負子

右が12kg、左が18kgの背負子です。大人であればなんとか背負えますが、これを長時間担ぐのはかなり大変ですね。

なかなか重いです

鋸を使った丸太切りの体験もできます(私たちは時間がなくてできませんでした)。

他にも展示コーナーには、「暮(くらし)」「穫(とりいれ)」「播(まく)」「拓(きりひらく)」「養(やしなう)」「耕(たがやす)」「運(ほこぶ)」「備(そなえる)」の8つのテーマに分かれて解り易く展示されています。

これらの農具の展示品は、芽室市の農業生産が周辺地域の変化と共に農産品の作付が、小麦や豆類から、馬鈴しょやスイートコーンなどに移行して、その結果使われなくなった廃品を寄付で集めたものだそうです。

北海道の畑作の動向についてはこちらのページに詳しく解説されています。

芽室の歴史のパネルも展示されています。芽室は昭和39年に大火で壊滅的なダメージを受けてそこから復興した歴史があるのですね。

芽室大火

芽室発展の歴史

自転車や壁時計、蓄音機など生活品として興味深い展示も多数見ることができます。

映写機

レコードプレーヤー

ステレオセット

壁掛け時計

大正時代の自転車

ミシン 

珍しい木製の百人一首

さらに、昔遊びのコーナーに置いてある品々が、なんとすべて手作り!!実に良くできています。。。まさに感動モノ。

輪投げ、ボウリング

ままごとセット

パズルやパチンコ

十勝パズル

パチンコ

福笑い

どの遊具の完成度も驚くほど高く、一体誰が作ったか気になるところです。ひょっとしてあの受付のスタッフの方の作では??

射的

射的の的ひとつひとつの絵も、良く見てみるとなんとも巧くて可愛らしくて感動!

射的の的

昔あそびのコーナーにある休憩ルーム

どれも手作り感満載なのですが、ひょっとして、展示コーナーにあったこの赤いわら靴も手作りか!?

深わらぐつ

縫い目も丁寧な仕上げ

よく見ると何気なく飾ってある小物もいちいち精巧で完成度が高くて驚愕です。。。







そして、この「ねんりん」は展示だけではなく、体験イベントも年間を通してたくさん企画されているようです。




平成30年度 月別体験メニュー


開拓すごろく

これだけ充実した施設にも関わらず、これといった宣伝も何もしていないので、地元以外の観光客には知名度はほぼゼロ。我々のように子連れで道外から観光に来た人でこの施設に立ち寄る人はほとんどいないでしょう。

一日の来場者数は、団体客が来ても多くて30人くらいだそうです。ちなみに私たちが滞在していた2時間のあいだには、5~6人がポツポツ訪れた程度で、ほとんどの時間は貸切状態でした。

夢中になっているうちに、閉館時間の午後5時まで飽きることなく滞在してしまいました。

施設の隣の小学校は、芽室町立美生小学校といって、今は廃校となっているのですが、かつては大相撲の第62代横綱である大乃国の出身校でもありました。その大乃国の資料室「かっこう」が廃校の一角にあったのですが、今回は時間がなくて訪問できなかったのが残念です。

たまたま雨の日の観光で訪れた「ねんりん」ですが、また帯広を訪れる機会があったら是非ともゆっくりと時間をかけて訪れてみたい施設です。

(おわり)

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