I2Sの衝撃:Raspberry Pi2とVolumio/RuneAudioでI2Sを試してみました

久しぶりのオーディオネタです ^_^;

Raspberry Pi2を入手してからずっとやりたかったI2S接続、先日I2S対応DACが届いたので早速試してみました。


I2S接続とは、Inter-IC Sound(IC間サウンド)の略称で、IC間でデジタル音声データをシリアル転送するための規格のことです(一般的にはI²Sと表記されることが多いです)。

要はUSB DACやサウンドカードなどに行く手前の段階で、サウンドICが直接扱うデジタル信号を捕らえて直接DACチップに送り込んで音を出す仕組みです。簡略化すると以下のような図になります。

I2Sの接続ダイヤグラム(こちらのサイトより引用)

USB接続のデータ伝送を経由しないため、USB固有の電源ノイズや干渉、伝送ジッターから完全に自由になるという圧倒的なメリットがあります。

一方、対応製品はまだまだ限られており、また、PCM以外の音声フォーマット(特にDSD)に非対応という点も注意が必要です。

実は以前にもI2S対応DAC試みたことがあったのですが、音出しまで行きませんでした。。。というのも、コストをケチッて、eBayで旧型のRaspberry Pi用のDACに手を出してしまったためでした。

おまけにそのDACは生産終了品で、ネットを探してもマニュアルも見つからないという代物。以下のものです。

TI BB PCM5102A I2S Audio DAC

もはやeBayでも出品されていないようです。基盤にはdacBarry2とあるので何とかなるかと思っていましたが甘かった。。。

Raspberry PiとRaspberry Pi2はピンヘッダの配置が変わって互換性がないのです。

接続用のジャンパーワイヤを千石電商で調達。

ジャンパーワイヤ

DACのピンヘッダ配置図がないので、基盤の配線を目で追って推測するしかありません。

DAC基盤にジャンパーワイヤを繋げたところ

で、試行錯誤でこんなもんかと。。。

左がRaspberry Pi2基盤、右がDAC基盤

Raspberry Pi2のピンヘッダ配置図はこちらを参考にしました。

Raspberry Pi2基盤のピンヘッダ

VolumioをインストールしたRaspberry Pi2を起動、I2Sの設定画面があるので、dacBerry2を選択。

で、こんなもんだろうということでアンプに繋いだのですが。。。

。。。音が出ません。。。

いろいろ接続を変えて試してみます。

うんともスントモ言いませんね。。。I2S DriverもDacBerry, DacBerry+ほかいろいろ試しましたが結果は同じ。

で、あっさりと諦めてしまいました。 (´д`)

VloumioのほうはHDMI接続ができたりといろいろ遊べたので、I2S接続のことは忘却の彼方に追いやってしまいました。。。


で、最近ふと思い付いてアマゾンを検索したら、Raspberry Pi2のI2S DACが結構安値で販売されていることを知りました。Raspberry Pi2も2月の発売からしばらく経過したので対応DACも落ち着いてきたようです。

ということで、今回再チャレンジ!

今度のDACはPi2対応です。

サインスマートHIFI DACサウンドカードモジュール I2Sインタフェース Raspberry Pi B+, 2 Model B対応というものです。ただしレビューがついていないので、果たしてRaspberry Pi2のI2Sで動作するかどうか保証はありません。

サインスマートHIFI DACサウンドカードモジュール I2Sインタフェース

搭載されているDACチップはバーブラウン社のPCM5122です。32bit/384KHzをサポートするDACチップなのでスペック的には申し分ありません。基盤にはP1F1 DAC+ v2.0と刻印されています。

これならもうピンヘッダの配置で悩む必要がありません、というか間違えようがない ^_^;

ドーターボードのようにピンヘッダを挿すだけです。もちろんジャンパーワイヤも不要。ボードも回路部品が干渉しないようにちゃんと設計されています。

Raspberry Pi2(左)とI2S DAC(右)

2つの基盤を繋げます

端子類はすべて全面に集結

あまりに手軽過ぎて物足りないくらいです  (´д`)

電源に繋げたところ

ここから先はソフトウェアの設定です。まずはVolumio release version 1.55で試します。ブラウザで

http://volumio.local/

で操作画面が表示されるので、まず音楽ライブラリが入っているNASのマウント設定をします。

次にWeb UIのSettingsのI2S driverでHifiberryを選択します。

I2S driverでHifiberryを選択

一度リブートして設定変更を有効にします。これでよし。。。と。

ところが音が出ません。。。

うーーーん。。。

何かわかるかもしれないとP1F1 DAC+ v2.0でググってみると、どうやらこのDACはHiFiBerry DACではなく、HiFiBerry DAC+互換のようです。

そこで再び先ほどのWeb UIのSettingsのI2S driverでHifiberryではなくHifiberry+を選択します。

すると。。。

音が出ました!!!

たまたまライブラリから選択していたグルダのベートーヴェンピアノソナタ第26番「告別」の冒頭の音色が。。。グルダらしいとてもまろやかなタッチの音です(どうでも良いことですが)。

Volumioの再生画面

少し音量を上げてクオリティチェックします。。。

かなり良い音ではないですか。。。!この音がRaspberry Pi2の極小の筺体だけでUSB DACも何もない接続で出てくること自体驚くべきことです。

USB固有のノイズやケーブル特性と完全に無縁の世界。。。シンプルイズベストの究極の形ではないでしょうか。

さて、Volumioもいいのですが次に最近話題のRuneAudioを試してみます。

そこで次にmicroSDカードを交換してRuneAudio release version: 0.4 (build: beta-20141216)を試してみます。ブラウザで

http://runeaudio.local/

で操作画面が表示されるので、まず音楽ライブラリが入っているNASのマウント設定をします。

NASのマウント設定

RuneAudioはVolumioと違って正式にI2Sサポートをしていないので、ここから若干作業が必要となります。

こちらのサイトを参考に、SSHでいつものようにlogin:root, password:runeで入って /boot/config.txt を変更。

SSHでログイン

サイトの説明を参考に、DACがHifiberryDAC+互換であることに留意して、device_tree_overlay=hifiberry-dacではなく、device_tree_overlay=hifiberry-dacplusのほうをアンコメントしてリブート、Web UIのMPD Cofigurationで新しく選択メニューとして出てきたHiFiBerry DAC+(I2S)を選択します。

HiFiBerry DAC+(I2S)を選択

すると。。。

ちゃんと音が出ました!

VolumioのUIでは出なかったグルダのベートーヴェンピアノソナタ第26番「告別」のアルバムアートが表示されています。ここらへんのUIの作りは好みもありますが、私はVolumioより気に入っています。

RuneAudioの再生画面

さて、VolumioとRuneAudioのどちらをメインに使うか悩むところですが、ここはアルバムアートが表示されるRuneAudioを使うことにしてじっくり音質評価をしてみました。

ソースをいくつか変えて評価してみました。

しかしあまり時間をかける必要もなく、I2Sの音は噂通り、素晴らしいの一言に尽きます。。。

いや本当に素晴らしい。

幸せな気分に浸れる贅沢なひととき。。。

スペック的にも問題なし、ちなみにハイレゾ音源(192kHz/24bit)を試してみました。

ハイレゾ音源(192kHz/24bit)にも対応

音切れももちろんなく、素晴らしい再生能力。。。いやはや、Pi2のクアッドコア900MHzの威力でしょうか。

2年ぶりにメインシステムを入れ替えました。久しぶりの大きな進化です。しかも実現コストが年々下がってきているという。。。

2008年 CEC/DA-53からRME/Fireface400へ
2011年 RME/Fireface400からVoyageMPD(Let's Note CF-T5)へ
2013年 VoyageMPD(Let's Note CF-T5)からCuBoxへ
2015年 CuBoxからRaspberry Pi2(I2S)へ

こうして無事VolumioとRuneAudioの両方でI2Sで再生することができました。

アマゾンで買うとRaspberry Pi2が6,000円程度、I2S対応DAC基盤が4,250円、あわせて1万円ポッキリで、ネットワークオーディオプレーヤーと単体USBDACの組み合わせに匹敵するものが出来てしまうとは、これは典型的な破壊的イノベーションではないでしょうか。。。?

Amazonで販売している以下のDACはRaspberry Pi2でI2S再生の保証ができました ^_^



そのうちUSBDACなんてものがあったねと昔を懐かしむ時代がやってくるかもしれません。

あまりに音が素晴らしいので、しばらくはこれをメインで稼働することにします。DSDとマルチチャンネル音源が非対応なので、CuBox/UDAC32RDとOppo BDP-103は引き続き稼働で3システム並列体制ですが ^_^

いやはや、I2Sの音はスゴイです。しかもこんなに簡単な組み合わせで実現できてしまうとは。。。怖ろしい時代になったものです。

(おわり)




コメント

  1. 「サインスマートHIFI DACサウンドカードモジュール I2Sインタフェース Raspberry Pi B+, 2 Model B対応」の情報、とてもありがたいです。私もアマゾンで見つけたのです。使えるのかどうかはっきりしなかったのですが、モニオさんの記事で確認できたのでラズパイ本体と同時に注文しました。ラズパイ本体はmicroSD挿入口の初期不良で返品交換中なんです。交換品が届いたら早速やりますね。

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    1. royさんこんにちは。ブログお役に立てたようであれば嬉しいです。こんな安価なシステムでオーディオを楽しめるなんて本当にスゴイ世の中になったものです。この組み合わせで音質アップのコツなどありましたらぜひお知らせください。

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    2. 世の中の変化は速いですね。30年以上間が空いてオーディオに戻った者にはホントありがたいことです。かなりいきなりここに来たので音質は店舗の天井で鳴っているスピーカとの比較ならわかるくらいの者です。これから耳を鍛えてまた書きます。モニオさんの情報公開を感謝しております。

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  2. はじめまして。
    同じく、サインスマートのDACで辿り着きました。
    今回、当方もこのDACを購入し、RP2Bに接続し、VOLUMIOでNASを再生したのですが、音質の高さには、凄く感動しているのですが、
    時折、プチ、チリみたいなノイズが混じります。
    何が原因だろうと、電源、RCAケーブル、無線LAN、有線LAN等、
    交換したりしたのですが、変わりません。
    で、DACの初期不良かと思い、同じのをもう一枚購入したのですが、
    結果、同じでした。
    そこで、少しお聞きしたいのですが、
    時折、わずかにプチやチリみたいなノイズの音が鳴ったりするものでしょうか?

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    1. MARUOさんこんばんは
      ブログ訪問ありがとうございます。ノイズにお悩みということですが、私のところでは確認できませんでした。異なる試聴環境でも試してみましたが結果は同じでした。ただしVolumioではなくRuneAudioですのであくまでも参考となりますが。。。
      電源まわりが一番気になるところですね。。。特にRP2BはUSB給電ですので、USBまわりが原因かもしれません。あまり参考にならずにすみませんが、何かわかったらまた投稿します。

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  3. ご返信、ありがとうございます。
    そして、突然の書き込みでしたのに、ご丁寧に確認までしていただきありがとうございます。
    やはり、電源ですかねぇ・・・。
    当初は、スイッチングで接続してプチプチと鳴ったので、トランスに変えたり、モバイルバッテリーに変えたりとしてみたのですが、変わらずだったんです。
    もう少し、電源周りを調べてみます。
    まさか、RP2Bの不具合なんてことはないですよねぇ・・・?

    ありがとうございました。

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  4. 割り込みご容赦
    同様のノイズで悩んでいましたが、某所で下記の書き込みを見まして
    USBケーブルを交換したところ解決しています

    >Raspberry用のUSB電源 : 1A 以上のもの (5V 2A以上がお薦め)
    >◆ PC のUSB端子は 電流容量が 500mA max なので使用出来ないと思ってください。
    >充電用USBケーブル : 適合電流が明記されたもの (2A以上がお薦め)
    >◆ 100円均一等の格安ケーブルは、電圧降下が大きく 動作不安定 の原因になりました

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    1. コメント有難うございます。
      確かにラズパイはUSBケーブルを選ぶようですね、安価なものだと電源は入るものの起動の読み込みに失敗する場合もあります。

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  5. 通りすがりですが、GJ

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