【楽譜に色付けしてポリフォニーを解読】J.S.バッハの「6声のリチェルカーレ」を弾く

ピアノの練習を再開してから2ヶ月が経ちました。

早朝と夜の時間を使って毎日1~2時間ほど練習を続けたところ、バッハの「音楽の捧げもの」より「6声のリチェルカーレ」4ページ目までをなんとか両手で譜面を追いながら弾けるようになりました(前回のブログはこちらです)。


ようやく全体の3分の2まで辿り着きました。残りは2ページです。

バッハコンクールは12月27日なので、本番まであと1ヶ月あまりに迫りました。このペースではコンクール本番までに全曲を通して弾けるのはギリギリ間に合うかもしれませんが、仕上げのための個人レッスンを受ける時間がありません。

もう少しペースアップしなければと思いながらも、譜面が進むにつれて練習に費やす時間も比例してゆくのでなかなか進みません。

もう何度も練習してミスタッチもなくなるまで弾いたはずの1ページ目でさえ、数日弾かずに過ごすと運指を間違えて今まで考えられないミスをしてしまうこともしばしば。。。

ひたすら反復練習するしかありません。ピアノの練習に王道はありませんね。

さて、6声のリチェルカーレですが、全曲を通して主旋律の大王の主題によるフーガが展開されます。

大王の主題

使っている楽譜は、運指が記入されておりとても便利なのですが、所々に運指がどうしても難しいところがあり、そこは自分流にアレンジして楽譜に書き込んでいます(62小節目の右手など)。

楽譜の音符は右手はオレンジ、左手は青、そして主旋律は紫で必ず色分けをします。こうすることによって断然弾き易くなります。

色分けした楽譜

17小節目からは、この主題が左手(バス)に現れるのでアクセントをつけて弾くのですが、主旋律以外も余分なアクセントが付いてしまうといったようになかなか苦労します。

17小節目からの主旋律(紫色の音符)

79小節目からは主旋律も消え、簡単な2声の展開で曲は進みます(カデンツァというのでしょうか)。ちょうどページをめくる場所なので助かります。

その後、曲調は徐々に盛り上がり、115小節目で再び主題提示が繰り返される中盤の盛り上がり部に至ります。

ここからの主題提示は技巧的にかなり難しいです。以下こちらのサイトから譜面を引用します。ちなみにこちらの譜面は3段構成となっており、これを見ながらピアノを弾くのは実質的に不可能でしょう。

主題提示(中段のAlto2の部分)

この部分は特に6声を崩壊することなく明瞭に弾くのは至難の業です。

123小節目からは反復進行(ゼグエンツ)が始まります。小節ごとに変調される場所も多く、運指を覚えるのに一苦労です。

後半は主題以外のモチーフも増え、曲はいよいよ複雑さを増して展開していきます。

とりあえず、現状は以下のとおりです。4ページ目は弾き始めてまだ1週間しか経っていないので特にボロボロで聴くに堪えないレベルですが、記録として残しておきます。

(試聴上の注意:ヒドイ演奏です)

それにしてもこの「6声のリチェルカーレ」は不思議な魅力を持った名曲です。大袈裟な表現ですが、弾くたびに「神への祈りを捧げる」ような崇高な気持ちになります。

フーガという曲の構成の特徴なのか、人知を越えた、なにか宇宙的な壮大さを感じます。

展開もドラマチックなのですが、この曲をロマン派のような感情移入した弾き方をするのは間違いでしょう。フーガはあくまでも淡々とテンポを崩さず弾くのが正しいのです。

その点、「6声のリチェルカーレ」をハープシコードではなく表現力豊かなピアノで弾くというのは、ある意味で矛盾しているのかもしれません。

ピアノ録音で随一のニコラーエワの演奏も淡々と演奏していますが、強弱はしっかりとつけて主題がしっかりと定位するテクニックはさすがです。「フーガの技法」の2枚組CDに「6声のリチェルカーレ」が収録されています。



もうひとつ良く聴くピアノ演奏が、菊池裕介の「B-A-C-H~変貌するバッハ、トランスクリプションズ」に収録されている「6声のリチェルカーレ」です。こちらは比較的豊かな表現力を全面に出してドラマチックに演出されています。


好みは分かれると思いますが、私はこの演奏をとてもに気に入っています。

菊池裕介の演奏はこちらのリンクから試聴することができます

またラミン・バーラミというイラン生まれのピアニストの演奏するものも必聴です。こちらはピリオド奏法的な淡々としたパートと、アゴーギクの効いた感情的な部分とが交錯して進み面白いです。英国の大手DECCAからリリースされているので、将来性も楽しみです。




今更ですが、バッハ生誕から300年以上経った現在、この「6声のリチェルカーレ」をドイツから程遠い日本という島国で、ピアニストでもない素人の私がコンクールの課題曲に選んで毎日悪戦苦闘して弾いているというのは奇跡のように思えます。

バッハコンクールまであと1ヶ月余り。なかなか進みませんが、正念場と思って毎日練習に励むことにします。

(おわり)
続きはこちら↓です

【バッハコンクールまであと1ヶ月】J.S.バッハの「6声のリチェルカーレ」を弾く
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コメント

  1. 改めて聴いてみると難しそうな曲ですね。一人で弾いているとは思えないような。

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    1. こんにちは。
      テンポはゆっくりなのですが、運指を覚えるのに苦労しています。ミスタッチ無しでもノッペラと弾いてしまうと無意味な曲に、かと言って抑揚を付け過ぎるとフーガの荘厳さが失われてしまいます。

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