2025年は年間100冊を読破という目標を立てましたが、4か月が経過して33冊を読破しました。
このペースで読み進めればちょうど年間100冊に到達する見込み。。。なかなかキツイペースですが頑張っています
笑
読了した33冊のなかから、印象に残った以下の5冊の書評をブログにまとめました。
- 『地獄と極楽』(枻出版社)
- 『歴史の終わり(上)』(フランシス・フクヤマ)
- 『重力波で見える宇宙のはじまり』(ピエール・ビネトリュイ)
- 『虚史のリズム』(奥泉光)
- 『スメラミシング』(小川哲)
2025年1月- 4月の4か月間で読了したのは以下の33冊です。
- 『自然界に隠された美しい数字』(イアン・スチュアート)
- 『脳は世界をどう見ているのか』(ジェフ・ホーキンス)
- 『池上彰と考える、仏教って何ですか?』(池上彰)
- 『世界はラテン語でできている』(ラテン語さん)
- 『イシャーの武器店』(A・E・ヴァン・ヴォークト)
- 『ナイルの聖母』(スコラスティック・ムカソンガ)
- 『日本仏教がわかる本』(服部祖承)
- 『知識ゼロからの仏教入門』(長田幸康)
- 『ハリケーンの季節』(フェルナンダ・メルチョール)
- 『武器製造業者』(A・E・ヴァン・ヴォークト)
- 『地獄と極楽』(枻出版社)
- 『約束』(デイモン・ガルガット)
- 『関心領域』(マーティン・エイミス)
- 『この村にとどまる』(マルコ・バルツァーノ)
- 『救出の距離』(サマンタ・シュウェブリン)
- 『スイマーズ』(ジュリー・オオツカ)
- 『グレイスは死んだのか』(赤松りかこ)
- 『スノウ・クラッシュ 新版 (上)』(ニール・スティーヴンスン)
- 『歴史の終わり(上)』(フランシス・フクヤマ)
- 『777 トリプルセブン』(伊坂幸太郎)
- 『あのころ、天皇は神だった』(ジュリー・オオツカ)
- 『重力波で見える宇宙のはじまり』(ピエール・ビネトリュイ)
- 『とるに足りない細部』(アダニーヤ・シブリー)
- 『夏への扉』(ロバート・A・ハインライン)
- 『量子とはなんだろう』(松浦壮)
- 『スノウ・クラッシュ 新版 (下)』(ニール・スティーヴンスン)
- 『朝と夕』(ヨン・フォッセ)
- 『手の美術史』(森村泰昌)
- 『虚史のリズム』(奥泉光)
- 『十月の旅人』(レイ・ブラッドベリ)
- 『サンショウウオの四十九日』(朝比奈秋)
- 『スメラミシング』(小川哲)
- 『東京ワンルームマンション経営学』(佐藤満)
下線の12冊は以前のブログで紹介した「年末年始に一気読みしたい!本の目利き・鴻巣友季子が激賞する2024年の小説ベスト21作」に含まれているものです。
上記の33冊のなかから、太字の5冊の書評を以下にまとめました(注:以下ネタバレあり)。
1.『地獄と極楽』(枻出版社)
以下はAmazonからの引用です。
かつて日本人は、お寺に掲げられた「地獄絵」を見て死後の世界に恐怖を抱きつつ、
お坊さんの絵解き説法を聞きながら倫理観を育み、極楽浄土に往生することを信じて人生を送ったといいます。
その人の生前の善悪の行いによって、「地獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道・人道・天道」のいずれかに生まれ変わる(転生する)とされる六道輪廻。
生前、罪深かった者が堕ちるとされる地獄と、冥府の主・閻魔大王が率いる十王の審判。それに対して、仏道を志して修行を積むことで、六道輪廻から解脱し到達するとされる仏界。
そして、阿弥陀如来が建立したという最高の極楽浄土。そんな死後の世界を、お寺に伝わる貴重な「地獄絵図」「六道絵」「参詣曼荼羅」「阿弥陀来迎図」などを使って、一目で分かるよう構成しました。
死後の世界を知って、生きる意味を実感する――失われつつある日本人の心をお届けします。
(引用おわり)
仏教の死後の世界を知るために読みましたが、四十九日間の七回の裁判、六道への輪廻転生、八大地獄、悟りの境地など、これまで曖昧にしか知らなかった仏教の基礎が非常に分かり易く解説されています。
日本の仏教は葬式仏教と揶揄されていますが、本著を読むと、普段からの心得が大切だということを改めて実感させられました。
個人的な評点: ★★★★★
2.『歴史の終わり(上)』(フランシス・フクヤマ)
以下はAmazonからの引用です。
◆なぜ「一つの歴史」が終わったのか?
人類の「普遍的な歴史」について考察した、不朽の名著!
・二十世紀がもたらした最大の「歴史的教訓」
・人間にとって「普遍的な歴史」とは何か
・社会進歩のメカニズムと資本主義体制
・民主主義の弱点・権威主義の美点
・近代史に登場した「最初の人間」
プラトン、カント、ヘーゲル、ニーチェなどの思想家をふまえて、今、われわれが置かれている立場、そこから生ずる問題点を鋭く論究した、画期的な歴史書!
【冷戦終結後の時代を回顧し、将来を展望するうえでも本書の魅力は尽きない。
佐々木毅(東京大学名誉教授)】
(引用おわり)
友人が以下のYouTubeを教えてくれました。リベラルデモクラシーで歴史は終わった、ではなかった!
【難解で手強い内容なので。。。後日追記します】
個人的な評点: ★★★★★
3.『重力波で見える宇宙のはじまり』(ピエール・ビネトリュイ)
以下はAmazonからの引用です。
宇宙の進化を司っているのは「重力」だった!重力――もっとも弱く、謎に包まれていた力が、この宇宙に大きな影響を与えている。アインシュタインが重力波を予言してから100年。重力波天文学によって、我々の宇宙観はどう変わるのか?
インフレーション、ブラックホール、量子真空、ダークエネルギー、量子重力理論……。宇宙を理解する上で欠かせない問題をやさしく解説しながら、宇宙誕生と進化の謎に迫る。
宇宙の進化を司っているのは「重力」だった!
「重力波天文学」が明らかにする新しい宇宙の姿
重力――もっとも弱く、謎に包まれていた力が、この宇宙に大きな影響を与えている。
アインシュタインが重力波を予言してから100年。
“アインシュタイン最後の宿題”と言われた重力波の観測が成功したことで、「重力波天文学」がついに幕を開けた。
それによって、我々の宇宙観はどのように変わるのだろうか?
インフレーション、ブラックホール、量子真空、ダークエネルギー、量子重力理論……。
宇宙を理解する上で欠かせない問題をやさしく解説しながら、宇宙誕生と進化の謎に迫る。
■おもな内容
序章 変貌する宇宙
第1章 重力、この未知なるもの
――ガリレイ、ニュートン、アインシュタインの見解
第2章 一般相対性理論 ――重力の理論から宇宙の理論まで
第3章 宇宙を観察する
第4章 2つの無限 ――両者は共存できるか?
第5章 宇宙誕生の瞬間
――インフレーションから最初の光が現れるまで
第6章 ダークエネルギーと量子真空
第7章 闇を学ぶ ――ブラックホール
第8章 重力のさざ波 ――重力波とは何か
第9章 重力波の直接探知に成功 ――We did it!
第10章 宇宙の未来
(引用おわり)
これまで多くの一般向け宇宙物理学の本を読んできましたが、そのなかでも重力波という新しいテーマを軸に明晰でわかりやすい内容でした。
量子真空と重力波の関係など、なかなかディープで理解するのに苦労しますが、宇宙はまだ多くの謎に満ちており、今後の解明が楽しみでもあります。
また、2015年のブラックホールの衝突から重力波が検出されたのは、決して偶然の奇跡ではなかったというのが新鮮な驚きでした。
著者のピエール・ビネトリュイ(フランス人)の、宇宙物理学に対する愛情が随所に滲み出ています。
個人的な評点: ★★★★☆
4.『虚史のリズム』(奥泉光)
以下はAmazonからの引用です。
新しい戦前? 否、死者の声は響き続けてきた――
ある殺人事件を機に巻き起こる、国家機密の「K文書」を巡る謎……。
近現代史の魔法使いが仕掛ける、至高のメガ、もといギガ、もといテラ・ノベル!
1947年東京、石目鋭二はかねてより憧れていた探偵になることにした。進駐軍の物資横流しなど雑多な商売をこなしつつ、新宿にバー「Stone
Eye」を開き、店を拠点に私立探偵として活動を始める。
石目がレイテ島の収容所で知り合った元陸軍少尉の神島健作は、山形の軍人一家・棟巍家の出身。戦地から戻り地元で療養中、神島の長兄・棟巍正孝夫妻が何者かによって殺害される。
正孝の長男・孝秋とその妻・倫子は行方知れず、三男の和春も足取りが掴めない。他の容疑者も浮かぶ中、神島の依頼を受けた石目は、初めての「事件」を追い始める。
ほどなく、石目のもとに渋谷の愚連隊の頭から新たな依頼が舞い込む。
東京裁判の行方をも動かしうる海軍の機密が記されている「K文書」の正体を探ってほしいと言われるが……。
作中に差し挟まれる、dadadadadadaという奇妙なリズムが意味するものとは?
記憶と記録が錯綜する、超規格外ミステリー。
(引用おわり)
1100ページを超える大著でしたが、意外なほどスラスラと読み進めることができて、2週間ほどで読了しました。
戦後を時代背景としたミステリー小説ですが、流石は芥川賞作家、その範疇は怖ろしく広範で、歴史、オカルト、あげくはメタバース宇宙論まで拡大します。
登場人物の一部が途中から鼠の観点になりますが、これがまたリアルで、一体どうやったらこんな小動物視点で脈動的なストーリーが描けるのだろうかと感心してしまいました。
とにかくグイグイ引き込まれてしまいました。
個人的な評点: ★★★★★
5.『スメラミシング』(小川哲)
以下はAmazonからの引用です。
小川哲の精緻な設計は、眼と舌、移動と思考を等価であるかのように見せかける。
凄い。とても、凄い。
──京極夏彦
多様性が声高に叫ばれる現代に於いても、
掬い上げられることなく無視され排除されていく人々をその内面から描いた、挑戦的な快作。
──金原ひとみ
世界の隅から吹き寄せられた言葉の切れ端が、
列をなし、「文」になり、拳となって、今あなたの隣に座る。
──飛浩隆
ヒリつく不安 積まれる緊張 ピリつく世情 生まれる破局
全てに病みつきになりました!
──魚豊(『チ。』『ようこそ!FACTへ』)
ボルヘスを理系的センスで再構築した超欺瞞世界!
──マライ・メントライン(エッセイスト)
「理由がほしい。物語がほしい。
正義のヒーローが現れて、黒幕の悪事を暴き、世界を変える、そんなお話であってほしい。
自分はその物語の登場人物でありたい」──
SNS上のカリスマアカウント〈スメラミシング〉を崇拝する”覚醒者”たちの白昼のオフ会。かれらを観察する陰謀論ソムリエ・〈タキムラ〉の願いとは? 壊れゆく世界の未来を問う、現代の黙示録。宗教
✕ 超弩級エンタメ6篇を収録した絶品作品集!
(引用おわり)
この本のジャンルは何だろう?
個人的にはやはりSFではないかと思いますが、今まで読んだどの本とも違う世界観に圧倒されてしまいました。
「七十人の翻訳者たち」で宗教や聖書の世界にどっぷりと浸からされたと思うと、「スメラミシング」ではいきなり現代のSNS文化の世界に放り込まれます。
聖書の真偽性は、原典を探究するよりも、その物語のゲノム解析のほうが精度が高いというのは目から鱗でした。
数字のゼロをテーマにした「神の方程式」、なかなか難解で何度も読み返さないと理解できそうにないです。
「ちょっとした奇跡」の織姫と彦星的なストーリーも、古くからある正統派SF小説の王道を行って微笑ましかったです。
いやはや。。。日本にもこんなスゴイ作家がいたのか(直木賞作家ですね)!
個人的な評点: ★★★★★
6. まとめ
以上、『地獄と極楽』(枻出版社)、『歴史の終わり(上)』(フランシス・フクヤマ)、『重力波で見える宇宙のはじまり』(ピエール・ビネトリュイ)、『虚史のリズム』(奥泉光)、『スメラミシング』(小川哲)の5つの作品の書評でした。
今のところ、年間ベスト候補は『虚史のリズム』(奥泉光)ですね!
普段は3冊くらいを並行して読み進めていますが、小説、サイエンス系、社会経済系と、3冊のバランスを取るようにしています。
目下、以下の3冊(『メタマジック・ゲーム』『歴史の終わり(下)』『ニュー・ロマンサー』)を読んでいますが、どれも難解すぎて大苦戦中
笑
何とか昨年末に宣言した「2025年には年間100冊を読破する」を有言実行したいですが果たして?
2025年に読んだ本の一覧や書評はブクログに上げています。
コメント